スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

スノードロップ (作者:香夜)

スノードロップ 【16】

「ん、コーラ」

「あっ、ありがとー!!」

圭汰からコーラの入った、コップを受け取った。


「・・・てか、大丈夫か?
 お前、夏弱いだろ」

コーラをひとくち、口にしてから、
圭汰はあたしに問いかける。

「ん、へーきへーき。
 圭汰と喋ってたからさ」

「そっか、ならいんだけど
 ・・・ほらっ!やっぱ“幼なじみ”だし・・・
 心配してみたり・・・な」

「・・・ん
 ありがと・・・ね」

あたしはそう返した。

〈ありがと〉なんて言ってみたけど
ほんとは少しつらかった・・・

“幼なじみ”だということが

どこか、はがゆく思えた―





気がつけば、圭汰ん家に来てから
5時間も経っていた。

「あっ! 
 もう6時だっ!!」

あたしは時計を見て言った。

「ほんとだ!
 ・・・帰るか?」

「ん、ホテル行かなきゃだし・・・」

「そーか・・・
 じゃな、気ぃつけろよ?」

圭汰は手を振り、あたしを見送る。




「ん・・・ばいばい」



あたしは圭汰宅を後にした。

香夜 著