スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

スノードロップ (作者:香夜)

スノードロップ 【11】

ー火曜日(東京行き前日)−


「明日香ー!
 おはよー」

「あっ、おはよ!!」


朝、あたしは社内で友人と挨拶を交わした。


「明日から、夏休みだよね!
 ほんとは今日からのが、良かったけど」

友人が横でこう言った。


そうか・・・もう火曜日か・・・
圭汰はもう休みなんだ・・・



「・・・か・・・明日香!!
 おーい」

「えっ・・・あっ!ごめん」

「もしや、この休み使って、彼氏んとこ行こっかな?
 ・・・なぁーんて、考えてた??」

「はっ!?ち、違うし!!
 彼氏なんて・・・
 ・・・ただの幼なじみ!!」

「圭汰くん・・・だっけ?
 男じゃん♪」



この友人には圭汰の話を何回かしたことがある
その度、からかわれている・・・;



「んもぉ、イヤラシイな! 
 明日香はッ!!」

「もー!!そんなんじゃないってば!!」

今日もまた、からかわれた・・・



でも、9年前の
あの日の告白がうまくいってたら・・・

圭汰の返事が、少しでも違ってたら・・・


あたしと圭汰の関係も変わってたのかもしれない・・・



時間は流れてる

決して止めたり、巻き戻すことは
できない・・・ 許されない・・・


前にしか進めない―




「でも、いいなぁ・・・ 
 幼なじみぃ」

羨ましそうにこう言う、友人。


「そ?」

「だって、なんでも本音で言い合えるでしょ?
 それに男だったら・・・」

友人が、こっちを見て少しニヤっとする。

「・・・変なこと考えないの!!
 ほら、さっさとこのデータ片付けよっ」


あたしはそう言って、パソコンとにらめっこを開始した。

香夜 著