スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

スノードロップ (作者:香夜)

スノードロップ 【8】

圭汰にとって
あたしは“ただの幼なじみ”


“ちょっとでも”
と、いう期待を胸に
伝えた 気持ちは


受け止めては もらえなかった―



あの日から
早1週間・・・



ー空港ー

「わざわざ見送り、ありがとな」

圭汰は少し照れくさそうに言う。

「・・・う、ううん。別に・・・」

あたしは、俯く。

「ん?どした?元気ないじゃん」

「べ、別にっ」

あたしは素っ気なく言った。

「あっ、寂しいんだろ!?」

「それどころか、静かになって、いいよっ」

「ひっでぇ!!
 明日香のバーカ!!」

冗談を言い合った後、あたしは小さく笑った。

「あっ、圭汰!はいっ、あげる!!」

そう言って、圭汰に小さな紙袋を渡した。

「ん?」

「バレンタインの!」

「手作り??」

「うん、一応ね。
 たぶん 美味しいから・・・」

「“たぶん”かよ!!」

笑いながら、彼は言った。

そして、

「・・・じゃ、俺・・・そろそろ」

「・・・うん」



“笑顔で送り出す”
別れが分かったときから、決めていた

今のあたしにできること・・・


「じゃあ、元気でね!!
 ・・・会いに来るの・・・待ってるから・・・」

「・・・おう!
 じゃあな!!」

彼は歩き始めた。

あたしは彼を、見えなくなるまでみつめた。



大丈夫。
君なら、どこに行っても
うまくやっていけるよ
・・・頑張って!!


そう心の中で繰り返した・・・

香夜 著