スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

砂漠の花 (作者:P)

砂漠の花 【4】

またやってしまったのだ。
盗み症候群とでも言えるのではないだろうか?

あれから1年が経って、仕事もたくさん探した。
でも、俺が犯罪者ということを聞くとすぐにやめさせられるというところばかりだった。
まぁ、当たり前のことだが。
金もなく、アルバイトも見つからず、放浪していた。
それだけでは腹がへる。
しかし、食べ物にありつけるほどの金も持っていなかった。
しかたなかったんだ。

今盗みに入っているのは、高級そうに見える一軒家。
ここなら、金はいくらでもあるだろうと思った。
誰もいないことを確認し、ガラスを割った。
あの、4年前のおそろしい感覚が戻ってくる。
それと同時に、これで食べ物にありつけるという嬉しさもあった。
そこは女の家らしく、綺麗に整っていた。
しかも、一人暮らしらしい。
人間はなんて不公平なんだろうと、いまさら思う。
引き出しをあさったり、あっちこっちを探した。
そう簡単に見つかりはしない。

そのとき、物音がした。
心臓が狂わんばかりに跳ね上がった。
ドアが開き、誰かが入ってきた。
20代にみえる、一人の女だった。
嬉しさは消えうせ、恐ろしさが何倍にもなった。
「あの・・・・・・」
女は、俺に話し掛けてくる。
「泥棒・・・・さん?ですか?」
「あ・・・・・・・・・」
言葉が出なくなる。
もうおしまいだ。

P 著