スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

ハニーハニー (作者:P)

ハニーハニー 【18】

クリスマス。
わたしは3年から学校に行き始めた。
2年も休んだのに、みんな、わたしと仲良くしてくれた。
理恵は、わたしに悪いことしたと思っていたらしく、誠治と別れたらしい。
ちゃんと仲直りもした。
お母さんも、わたしのことをちゃんとわかってくれるようになって、風のことはなし
て、クリスマスに出かけてもいいと、ちゃんとお許しをもらっていた。
「なぁ、天?」
「なに?」
「クリスマスって、こんなんだったっけ?」
「うーん・・・・・」
そのツリーのある公園には、人がたくさんくることを予想したのか、屋台がたくさん
あった。
「ああっ!!!」
背中がぞくっとした。
先輩だ。
しかも今度は、5人。
そのわたしに風が気づいた。
「どうした?」
「ちょっと・・・・。」
「天ちゃーん!!!」
「男つれてる!生意気ぃ!!」
近寄ってきた。
―――でも・・・・もう先輩達は高校に行ってるのに、わたしに構う必要があるんだろうか?
「おい、あれが先輩?」
「うん・・・まあ・・・。」
「俺が行ってやる。」
風が先輩達に向かっていこうとした。
「ちょっとまって。」
「へ?」
「わたしが行く。」
絶対に、あの人達は間違ってる。
それは真実だから。
だから大丈夫。
わたしは負けない。負けられない。
「すいません。先輩。」
「なに?裏切り者がなにかよう?」
「なんか生意気じゃねぇ?」
「あれって彼氏でしょ?ウザっ!」

わたしの世界は、輝いてるから。
それを風が教えてくれたから。
風がわたしを無敵にしてくれたから。

「あの、わたしにいつまでも構ってて大丈夫なんですか?」
「はぁ?裏切り者が何いってんの?」
「わたしは部活をやめました。だから、その時点でもう無関係ですよね?」
「なに部活やめたこと自慢してんだよ。」
「裏切り者裏切り者って言ってますけど、わたしに構ってて楽しいですか?わたしが裏切り者なのであれば、裏切り者に構ってる必要は無いと思いますが?」
「・・・・意味わかんねぇ・・・・・」
「楽しいですか?」
「もう行こ。頭おかしくなりそう。」
「なんなんだよこいつ、裏切っといて・・・・」
先輩達は舌打ちをしながら、向こうの方へ歩いていった。

P 著