スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

クリスピー (作者:ひかる)

クリスピー 【15】

翔は、今起こった出来事があまりにも早かったから、理解するのに時間がかかった。

翔「まさかあ・・・。

わけがわからなくて苦笑いしかできない。


ナナと街で会った。お互いがプレゼントの準備はできていた。

でも渡すのは今夜。

ナナはお父さんのことを知っているのだろうか。

伝えたほうがいい?わからない。

今はこのままで・・・

ナナ「さっき見つけたんだけど、この先にお酒が飲めるお店があるの。

   行ってみない?

ナナからの初めての誘い。なんだか大人っぽい、けど、今はついていきたい。

連れてってほしい。

翔「・・・うん。


カランカラーン。店に入るとお酒のにおいがプンプン。

翔「うぅ・・・。

ナナ「ちょっ、大丈夫?そっか、翔君は二十歳になったばっかりだもんね。

   大丈夫?

翔「大丈夫!

と言いながら、そこにあったテキーラを一気のみ。

もちろんアルコールが入った飲み物を飲んだことすら初めてだったから・・・?

クラクラ〜〜と目が回ってナナの方へ倒れてしまった。

ナナ「きゃ、大丈夫っっ??!

翔「だ〜いじょ〜うぶ〜*

目が据わっていない。顔も赤い。

翔に肩をまわし、ホテルへ戻ることにした。

ナナ「も〜う、せっかく私が酔いたかったのにー。

翔はむにゃむにゃしゃべってる。「ナナちゃん、大好き」


ナナは顔を赤らめた。「私も。」


部屋について、翔を寝かせた。

昨日はベッドを一つ一つ離していたけど、

翔があまりに大の字に寝たがるもんだから、ベッドをくっつけた。

ナナ「あちゃー、これじゃ、私の寝る場所なくなっちゃうよ。

酔った勢いでか翔が言った。

「こっちおいでー。」

えっ。いいの?いっちゃってもいいの?私。

自分の気持ちと戦った末にナナがとった行動とは・・・

翔の近くへ行った。

翔「こーこ!

と、自分の周りをどんどんとたたく。

ナナ「う、うん。

近づいたらギュッって抱きしめられた。

そのまま二人でベッドに入った。まだ翔はむにゃむにゃ言ってる。

寝てるのに翔はナナを胸のうちに閉じ込めた。


ナナは幸せの殻をはみ出しそうなくらい、恥ずかしさと嬉しさで眠りについた。

ひかる 著