スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

さくらんぼ探偵事務所 (作者:りょぅ仔)

さくらんぼ探偵事務所 【第10話】

自己紹介の場で、思いもよらぬ草野の怒りに同様しつつ、菜々子は喋りだす。


「・・・初めて
 ママに作ってもらった料理が肉じゃがですの。
 って言いましても、最初で最後みたいなものでしょうかね。」


一同は、へぇ、と納得し、三輪が質問した。


「何歳のときだったわけ?」
そう言うと、菜々子は首をかしげ、考える素振りを見せた。

「・・・いつだったかしら?
 5・6歳くらいだったと思うわ。」

予想外なエピソードを聞かされてしまったメンバーは、静かに座っている。

彼女は、一体
両親にどうしてもらえれば喜ぶのだろうか?と


短い沈黙を続き、草野が口を開いた。

「ねぇ、菜々ちゃんはさ。」


そう切り出す草野の話を一同は真剣に聞いている。


「15歳って、ほんとう?」



その瞬間、草野めがけて崎山の近くにあった大皿が飛んできた。

「なんですの?
 えぇ、確かに実齢よりも老けてみられることはありましてよ?
 だからなんだっつーんですか?
 鼻にパン粉詰めますわよ?」


ただならぬ菜々子のオーラに、三輪を田村と崎山は慌てて草野の口を塞ぐ。


口を塞がれている草野は、しつこく話を続ける


「ブハ・・・だよね!?
 でもさ、十代で実年齢より老けて見えるってちょっとキツくなぃ?・・・ガホォゥ!!」



崎山は草野だけでなく、自分達の生命の危機を感じ、草野の腹部を思い切り殴った。

草野は気を失い、その場にあったソファーに倒れた。

「「・・・崎ちゃん・・・強すぎ☆」」

と、三輪と田村は微笑みながら言った。



草野が倒れている間、田村は、菜々子にこう言った。

「まぁ、アレも菜々ちゃんに対する気遣いだったりするのかもね。
 ホラ、あからさまに沈黙だったしさ。
 なんかこう、場を騒がせなきゃって思ったのかもよ?」

菜々子は、ツンとそっぽを向き、

「フン、分かりにくいですわ。」

と呟き、自分の部屋へと戻っていった。

りょぅ仔 著