スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

さくらんぼ探偵事務所 (作者:りょぅ仔)

さくらんぼ探偵事務所 【第8話】

作者が投稿するまでにかなりの期間が空いてしまったので、これまでのあらすじを・・・


”崎山”の部屋で人が死んでいると、朝から縁起悪いものを発見してしまった菜々子さん。
田村を叩き起こし、あとのメンバーも揃って
”崎山”の部屋を訪れると、そこには・・・・





「「「「まだいんじゃんーーーーー!!!!」」」」


中を見ては扉を閉め、また開けるという流れをかれこれ20回ほど繰り返している。



「そろそろ、死体に話しかけてみたらどうですの?」


「ばっかだなぁ、死体が返事するわけないじゃん。
 ナナちゃんは面白いこと言うねー」

菜々子の提案を草野があっさりと却下する。



「・・・・いや・・・案外答えるかも・・・」


「いやいや、ないだろ。
 あんた設定上賢いキャラなんだから、崩れないようにしてね。」

と、真面目に考え込む田村に、草野が冷たく突っ込みを入れる。




「・・・・あ!?」


三輪が驚いたように、扉の隙間から中を覗く。


周囲にいるメンバーが、三輪を見つめる。

三輪がボソリと呟く。











「・・・・・・・・・・崎ちゃん・・・・・」







その場に居たメンバーはその言葉を聞いて、部屋へと殴りこんだ。



「ぇ・・・ちょ・・・ぇ・・・
 ぁ!崎ちゃん!!まじで??まじで!?」


菜々子以外の三人は、扉を開けて、死体へ近付き
体を揺すったり、呼びかけたりして死人の確認を始めた。

「崎ちゃん」て、「崎山」の「崎ちゃん」??
死んでんの?この方。

菜々子は、全く訳が分からず、とりあえず三人の行動の邪魔にならぬように、部屋の隅に移動した。




すると





「・・・・・うーーーーーーーーーーーーーーーーーん・・・・」




「「「「喋ったぁ!!!!」」」」


一同が同時に叫び、さらに体を揺する。



「うおぉーー!!
 崎ちゃん!死ぬなぁぁぁぁ!!」


「ちちんぷいぷい!」


「医者医者医者医者医者!!!」



三人は、バラバラに叫び完璧なパニック状態に陥っている。



「・・・・〜〜・・・」


「ちょー!待って!
 なんか言ってる!」

すると、また”崎ちゃん”は呟く。








「・・・ぅ〜〜・・・ぅ・・・・・・・ぁぁ・・・肉が・・・〜〜〜〜・・・」






四人は目を合わせた。



「今、妙に『肉が』だけハッキリ聞こえましたわ。」




菜々子の発言に、菜々子以外の意識がある三人は、再び目を合わせて呟く。

「「「空腹かぁ・・・」」」」


三人は一気に脱力し、はぁと溜息を吐いた。


だが、三人はすぐに気分を切り替えて行動を開始した。


「テツヤ、肉買いに行って。」

「うい」

「マサムネ、めちゃめちゃカロリー高い肉料理探そう。」

「うん」


草野は、菜々子に今倒れている人物、”崎ちゃん”について説明を始めた。



「・・・その、なんてゆーかね。
 崎ちゃんはさ、お腹が空くとさ、倒れちゃう体質なんだ。」



その説明を聞いて、菜々子は一言。




「・・・・人間、どう頑張ったって
 そんな単純な体のつくりにはなれやしませんわ。」





後の調べから分かった事だが、菜々子の見た”液体的な物”は

ヨダレだった。

りょぅ仔 著