スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

さくらんぼ探偵事務所 (作者:りょぅ仔)

さくらんぼ探偵事務所 【第4話】

そこは、暗い洋館の玄関

広さは充分で、埃を被っているところを除いては

西洋風の家具が綺麗に配置されている



そんな中で、菜々子は泣いていた。




「・・・・っぅ・・・・うっ・・・ひっぅ・・・」


そんな菜々子に戸惑いながら、男はしゃがんで菜々子に目線を合わせて
手を合わせ、謝る素振りを見せた。



「・・・・・・ホントすいません」




「・・・・ぅわーん!
 ごっ・・・・ごべんですぶとおぼってるんでしゅのー!?(ごめんですむとおもってるんですの)
 
 あ・・・・あんな・・・早く・・・っ
 走られたら・・・・恐いですわよぉぉぉ!!!!」




男はオロオロしながら、菜々子を見つめる。


廊下の床がギシッと軋んだ。




「・・・・・・・・テツヤ」



廊下から玄関に出たもう1人の男は、菜々子を泣かした男を”テツヤ”と呼んだ。

男の名前はテツヤなのだろう。




「マママ、まさむねぇ!
 どうしよう、泣いちまったよ!」


そんなテツヤを見て、マサムネという男は額に汗を浮かべ、瞳孔が開き、恐怖に満ちた顔を見せた。




「・・・・テツヤ・・・・
 お前・・・・遂にロリコn・・・」


「違ぁぁぁぁぁぁーーう!!
 決してロリコンじゃないっつーの!!」



二人のやりとりに、菜々子は少しは落ち着いたものの

未だに、テツヤという男とマサムネという男に対しての警戒は解けなかった。



「・・・だって、その年で、その年の女の子を無理矢理連れ込むなんて・・・
 ここは、お前の家じゃない!
 俺ら全員の事務しょ・・・」



「分かってるー!
 若干無理矢理だけど、違うんだって!」




そこで、初めて菜々子は口を開いた。



「ちょっと・・・・そこ・・・
 この私を差し置いて、何話しているんですの?」



菜々子は、ゆっくりと立ち上がり

涙を拭き、服の埃を払った。


自分の目的を忘れてはいけないわ

そう言い聞かせる。




菜々子のただならぬオーラに、テツヤとマサムネは冷や汗をかく。



菜々子は、大きな鞄から横長のブランド財布を出し


10000と印刷されたピカピカの札束を取り出した。



「いいですわよ。
 ここがあなた方の事務所であるのは、本当のようですわね」




「「そうです」」

二人揃って言う。




「だったら、依頼者のあたくしのお願いきいてくださるのよね?」



テツヤとマサムネは、意地悪そうな菜々子の笑顔に顔が引きつり

何もいえなかった。




何かすごく、恐ろしい依頼が来そうだ・・・・と










すると、マサムネが出てきた廊下からまた男が出てきた。












依頼料金はいくらでお引き受けしましょうか?」

りょぅ仔 著