スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

さくらんぼ探偵事務所 (作者:りょぅ仔)

さくらんぼ探偵事務所 【第2話】

「ちょ・・・・ちょちょちょ・・・
 ぁ、あなた一体何なんですの!?
 ひひひ人にぶつかっておいて平謝りなんて!」



そう言ってキッと上を見上げると、なんとも個性的な髪型をした男性がどーんと立っていた。

しかもサングラスををつけている。

サングラスをしている人を初めてみた菜々子は思わず口がパックリと開いたままになってしまった。


「ぅい。スイマセン」


「・・・・あなたねぇ!それしか喋れないんですか!?」


「・・・・そんな訳ないですよ。他にも喋れます。」

「・・・・・・・・・・・・だからぁ、そういう事じゃなくて」


はぁ、とため息を吐き、もぅいいですと呟く。


「・・・・どうしたんですか?」


サングラスの男は言った。


「は?」


「・・・・それ」


男は菜々子が握っていた紙切れを指差した。


「・・・・あぁ、コレですの?
 ここら辺にある事務所なんですが・・・・
 まぁとにかく、あなたには関係ごさいませんわ!」



そう言って、その場を立ち去ろうとした。



「・・・・ソレ・・・・オレ達のじむしょ。」


「・・・・・ハイ?」





「ソレ、俺達がやってる事務所だけど」



いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!???


あぁっと、いけないわ
なんかこの人に会ってから、キャラが崩れてる気がするの。

ダメダメ。
落ち着け、菜々子。



「・・・・じゃぁ、案内して頂戴。」


そういうと、男は菜々子に背を向けてしゃがんだ。

「ちょっと、何してらっしゃるの?」


男は、「お腹すいてるんでしょ」といって、どーぞ、と言った。



菜々子は、少し戸惑って「・・・仕方ないわね」と呟き、
顔を真っ赤にしながらおんぶされた訳である。

『パパからもおんぶなんて、された事ないのに・・・・』




ここッスよ。



そう男が言った。

男、つまり、男におんぶされてる菜々子が見たものとは、

古い洋館であった。


いかにも、昼夜問わずお化けの訪問を待っているかの様な・・・・

りょぅ仔 著