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めざめ by あつこめざめ 【32】名前が呼ばれたような気がして俺はフッと体を起こした まだぼんやりと霞む目を擦り、時計を見上げると短針は12を指していた いつの間にこんなに過ぎていたのか、寝すぎたかな、でもだいぶ体は楽に――――・・・12時? 顔が青ざめていくのが自分で感じ取られた サオリさん、そうだ約束――――!!!! ハンガーにかけてあったウインドブレーカーを手に持ち部屋を出てリビングに出た リビングには灯りがついていて、母さんがソファで毛布にくるまって寝ていた 仕事――――、今日は早かったんだな。 食卓机には大量の洗濯物と書類とお酒の缶が置いてあった、灰皿は灰で埋まっているようだった ふと、電話に目を向けると留守番電話が入っていた 時間と人を確認すると8時半頃に2本と、10時過ぎにまた1本、―――3本の留守電が入っていた 母さんは、8時半前に帰ってきて寝てしまったのか それとも10時過ぎに帰ってきて寝てしまったのか、どっちが正しいのは分からない 「・・・・んなわけ、無いか。」一瞬期待してしまった自分が情けなかった ふう、と大きくため息を漏らす。ため息はフローリングにぶつかり部屋中を反射する。反射したため息を目で追って、ソファの傍に置いてあるずっしりと入ったビニール袋を見つけた。 なんだろう、と単純な好奇心によりその袋をガサガサ開けてみる、 生ものだったら冷蔵庫に―――、と袋から出てきたものは氷枕と熱さましシート。冷凍のおかゆや、おじや、ましてはアイスといった様々なものが出てきた。 手が止まった、 そして目を疑った。 これ、――――母さんが買ってきてくれたの?涙が、涙腺がぶち壊れたようにして溢れてきた。でもそれらを止めようとも堪えようともせず俺はひたすら、自分の麓に孤を描き、湖をつくりあげた。 しばらくして俺は幾度か瞬きをし、小さく寝息を立てている母さんに目をやった。 よく見るとクマが出来ている、白髪も少し生えている。―――――母さん、ありがとう。 ゆっくりと呟き立ち上がる、ふいに足が椅子にぶつかり音がたった 「――――あ、」と少しの声が出た すると母さんは毛布から体を出し、疲れきった眠い目で俺を見た 「―――なに、起きたの。うちのことはいいから、早く寝なさい」とそれだけを俺に言ってまた毛布にくるまった。 俺は返事も何も言えずただ頷いて、ウインドブレーカーをハンガーにかけ、ベッドに座り込んだ 窓からは月が見えた 月は優しく、俺を撫でサオリさんの面影を映した 気のせいか、エレベーターの動く音がした 俺は必死にそれがサオリさんでないことを祈りながらまた、寝た。 あつこ 著
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