スピッツの曲にまつわるオリジナル小説

めざめ (作者:あつこ)

めざめ【21】

アップルパイともう一つ。
チョコレートケーキかベリーのタルト。マーブルケーキにするか、それともシュークリーム?

男の子って何が好きなんだろう?
甘いの食べられなかったりするかな?生クリームは?苺は?チョコレートは大丈夫?


ガラス越しにケーキと15分も睨めっこした挙句、無難なショートケーキにしておいた。

これなら多分、翔太も食べれるよね?
ケーキ屋の袋の重さが心地よかった、CDは返しちゃったし
結局本は一晩じゃ読みきれなかった・・・途中で眠くて寝ちゃっただけなんだけれど
読みきれなかったから早く帰って読んじゃおう。

夜になったらー、
時計を覗くとまだ4時半過ぎで少なくともあと4時間は待たなければならない現実にうんざりしたりして。

ケーキの箱を揺らさないように抱えながら早足で私は家に帰った
本を読んで、宿題して、明日の時間割そろえて―


明日?
あと私が学校に行くのは明日だけなんだ。
明後日の夜に実行だから、私明日が最後なんだ。
最後の学校。
「最後の最後まで、1人かぁ・・・」そう呟いて空を見上げたら雲ひとつ無い青空で空気はパリッとしていた
本当のところ仲直りしたいし、今までどおりに話したい

でも、どうせ無理だって分かっている。目すら合わせない。
そっかぁ、最後の最後まであたし、嫌われてるんだよなぁ

風が冷たい、空気はよく澄んでいて息が白い。

今日も、星が、月がよく見えるだろう。

早く、夜になって。          

祈りは通じず、願いは叶わず、時間は一定のリズムでゆっくりと刻んでいった

あつこ 著