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月に帰る  [作者:猫]

■ 16

あっという間に時間は
いつも通り流れて、早くも遅くも感じなくて、
いつも通り夕方になった

曇ってるから雲の端がオレンジ色に染まっているだけだった

もうすぐ夜だ。月がルナを迎えに来る。

そしたら本当に、 もう さようならだ

あたりが暗くなって、俺は不安で仕方なかった
曇っているから月は出ていない

「ありがとう」
続けて彼女が言う
「今日、海に連れてきてくれてありがとう。」
「いいよ、ルナは楽しかった??」
「とっても。だけど変だね、いつもと全部一緒だよ。
  翔はずっとこの時のなかで生きていくんだよ」
彼女は強く言った
「うん」
他に何も言えず、俺はうなずいた
「あと、目は大丈夫。絶対大丈夫だよ。
  見えなくなったって大丈夫。翔なら大丈夫だよ。」
続けて、こうも言った
「翔、私が居なくなったら新しく女の子見つけるんだよ
  そしたら・・・私も・・・安心して・・・
  翔のこと本気で愛してくれる人は他にもたくさんいるよ
  私も・・・」
そう言いかけて慌てて
「見つけなくったって、寄って来ちゃうかもね。」
と言った

彼女が何を言いいかけたかなんとなく分かった
「無理だよ、そんなの」
「やめてよ、ちゃんと他に・・・
  あーあ、私が今一番翔のこと好きなのに、こんなこと言わなきゃいけないんだ
  変だなあ。普通考えられないよね」
彼女はまた、涙を堪えていた

このまま月が出なければいいのに



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