月に帰る
[作者:猫]
■ 12
気になってたことだった
俺は、ルナに必要とされるものなんだろうか
別に必要とされてなくてもいいけれど
必要とされてたら嬉しいんだけどなあ。
彼女と一緒に居る夢を見た
俺達は海にいて、海に映る月を見ていた
君は「月が綺麗だね」なんて言ってた
君が大丈夫そうだから、俺も安心してそこに居た。
静かに波の音がする海で、静かに白く光る月を、逃げなくてはいけない月を
君と俺はずっと眺めていた。
とても、とても幸せな時間で、夢のようだった
・・・って夢なんだけどね、目覚めた俺がそう思う
あれが本当に夢なんだ。まさに、幻想だった。
君はまだ眠っていた。
「いなくなんなよ、絶対。ずっと、ここにいて」
思わず口に出した
すぐに恥ずかしくなって顔を洗いに行った
聞えてないといい。彼女はきっとこんなこと言ったら困るだろう。
それでも、困った顔で笑うんだろうなあ
今朝もまた、蒸し暑い日で
もうすぐ夏休みが終わろうとしていた
バイトで忙しい毎日に女の子がいるだけで
こんなにも違うもんなんだなあって初めて気づいた
一人暮らしして初めて人を好きになった。
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