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春の歌  [作者:三日月 遥]

■第6章

明日こそは謝ろう。
何回そう心に決めたことか。
結局、2週間くらいそのままの調子だった。

すれ違う彼の視線は冷たくて、でもどこか温かい目をしていた。
きっと、私は彼を傷つけるのが怖くて、その次の言葉を言えずにいた。
「ごめん。」
だけだとかえって傷つけてしまうような気もする。
でも、他に言葉が見つからない…。
どうすればいいんだろう。

思い悩んでシャーペンをノートに当てたとき、不意にバイブレータが鳴った。

「マナーモードのままだったんだ…。」
私は立ち上がり、充電器から携帯を取った。

…メールは彼からだった。

ーー春菜へ。

この前はごめん。
でも、俺はあれで間違ってなかったんだと思う。
…。春菜が好きだから。ーー


涙が液晶画面に落ちた。
胸の奥のモノがわき上がった。
もう、何がなんだかわからない。
何でこんなに苦しいかわからない。
こんなの初めてだからわからない。
わからないものは何?

参考書にも、雑誌にも載っていない。

なら、残るモノはこれしかない。

ーーー恋。ーーー


そうか。
…私、なお君が好きだ。
なお君に恋をしたんだ。
だからこんな気持ちになるんだ。



彼への電話はすぐにつながって、
「…好き。」
とお互い何度も言いあった。  



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