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あじさい通り [作者:ぽわん]

■15

「・・・・・・泉!!!!!」

誰かの声が僕の足を止めた。

この声は・・・・・。

「おい泉!ばか、まだ赤信号だろ、ぼーっとしてんなって・・・」

浩司だ。血のついたワイシャツ、赤く腫れた頬や瞼の面で僕に向かって駆け寄ってくる。

目の前のトラックはすでにどこかへ行ってしまった。

「浩司・・・・・・。」

「陽菜ちゃん、どうだった?・・・って、お前がこんなとこ一人でほっつき歩いてるってことは
そんなひどいことにはなってないみたいだな?」

陽菜が死んだなんて言えるわけない。それに、いずれ浩司もわかることだ。

「うん・・・まぁ・・・・・・。」

話を変えたくて信号が青信号になって進もうとしたけど、
浩司は僕のワイシャツの袖をぐっとつかんだ。
僕は何も言わずうつむいた。

「泉・・・・・・。」

「ん?」

「ごめんな。本当に。今までずっと裏切ってて。」

「いいよ、もう。それに浩司は、僕のこと助けてくれたじゃないか。」

「うん・・・だけど・・・・・・。」

顔をあげると、横で浩司が泣いていた。
二人仲良く並んでいた頃、
殴られたって、蹴られたって笑っていた浩司が今、
真っ赤な顔をして泣いていた。


「ごめん・・・・・・ごめんな・・・・・・・・。」


涙が頬をつたっている
あたたかい風を体で感じる
太陽の光が、浩司の赤い頬を照らす
それは皆
生きているからできること。


僕には まだ 今がある 


気づくのがちょっと遅かったかな? 


「さっそく陽菜との約束、やぶるところだったよ。」

つぶやく僕に、浩司が涙をぬぐって不思議そうな顔をする。

「行こうか」

青信号が眩しく光る。それはススメの合図。

僕は今を手に入れる。それは生きている証拠。

僕はやっと今・・・。


あとがき

読んでくださった方!!本当にありがとうございます><
表現とか本当下手で恥ずかしくもなりましたが、やっと完結できて
よかったです。
ありがとうございました。

↓目次

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