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あじさい通り [作者:ぽわん]

■3

ガララッ・・・
ドアの方を見ると、保健の先生が入ってきていた。

「あら、陽菜ちゃん!!久しぶりねぇ。」

先生は陽菜を見るなり、笑顔でそう言った。先生の名前は覚えてないけど、
まだ若くて25、6歳といった明るい先生だ。けっこう人気がある。

「三原先生、お久しぶりです!あの、ごめんなさい、保健室のもの、勝手に
いじっちゃいました。」

「あら、全然いいわよー。・・・・・・ちょっとあなた、大丈夫!?」

そういえば三原先生という名前だったっけ・・・と思いつつ先生をじっと見ていた
から、目があってしまった。

「はい、大丈夫です。」

「もしかして、殴り合いの喧嘩ね?喧嘩はいいけど、ほどほどにしなさいね。」

先生はにっこりと優しく笑った。

「違います先生、泉君の傷は・・・!」

陽菜がそう言いかけて、僕は思いきり陽菜をにらんだ。
陽菜の口がきゅっとしまる。

「すみません先生、気をつけます。」

それだけいって僕は先に保健室を出た。すぐにドアが開き、陽菜がゆっくりと歩いて
追いかけてきた。

「どうして一方的に殴られたって言わないんですか?喧嘩じゃないじゃないですか!」

「大人に何言ったって無駄だよ、何にもならない。」

「そんなことないです!三原先生なら、きっと助けになってくれます。とっても優しいし、
とってもいい先生です!」

「信じられないよ、大人なんて・・・・・・。だいたい僕は人なんか信じない!!」

「・・・・・・じゃあ私のことも信じられないんですか?」

「うん、そうだよ。信じない。」

僕は冷たく言い放った。面倒くさい、僕によるな、といわんばかりの表情で。
陽菜の目から一瞬涙がこぼれるのを想像した・・・。助けてくれたのは感謝するけど、
必要以上に僕にかかわらないでほしい。悪いけど、これでいいんだ。。。

「私・・・・・・。泉君のお友達になりたいです!いえ、なります!!」

・・・・・・はぁ?

とっさの発言に僕は気が抜けたように立ち止った。何なんだ本当に、この女。

「・・・勝手にすれば。」

「はい、勝手にします!」

チャイムが鳴り響いた。僕と陽菜は立ち止まったまま、ただ見合っていた。



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