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惑星のかけら  [作者:麻愛紗]

■2

・・・はらはらと空へと舞い上がる、桜の花びら。
たんぽぽに集まる蝶達。
周りがキラキラ輝く、暖かな春の午後。
・・・その日、私達の父は違う世界へと逝ってしまった。

・・・葬儀もあらかたは終わり、家の縁側で休んでいた時のこと。

『・・・こうしてると、お父さんがいなくなったって、信じられないね』

私は独り言みたいに呟いた。

「そうね、でも・・・もういないのよ」

『・・・明日から大変そう。周りからなんか言われそうだな〜』

これからのことを想像してみて、軽い苦笑を浮かべた。
隣では、姉が私の表情を見て微笑んでいた。

「周りが何か言っても、それはその人の思いなんだから気にしなくてイイわよ」

『そうかな〜・・・』

「そうよ。だって、華蓮(カレン)がそうは思わなかったら、周りの考えとは違う
もの」

『・・・そっか、そうだよね!』

「えぇ。だって、私の思うことも違うもの」

『・・・姉さんの思うことって何?』

私からの問いに、少し迷っているみたいだったけど、数分後に口を開いた。

「・・・例えば'命'についての考え方ね」

『命?』

「うん。ほとんどの人が石とかには'命'はナイって言うわよね?」

私はいきなりでキョトンとしたけど、軽く数回頷いた。
そんな私をみて、姉はクスリと笑った。

「・・・だけど、私はそうは思わないの。 私の考えはね、もともと'地球'ってい
う大きな'命'があって、生き物や石とかはその'命'の海からコップとかで掬い上
げた”かけら”みたいなモノだって思うの」

『・・・地球のかけら?』

「えぇ。 だから、死ぬってことは、'命'の海に戻っていくってことなのよね」

『コップの水を海に流し込む感じ?』

「そうね、そういう感じ」

そう私に話す姉さんが、すごく輝いてみえた。
そして、その輝きは'命'の輝きに思えたのだった。

 

・・・あの時は、いまひとつわからないと思った部分もあったけど、今は・・・
なんとなくだけど、全部わかる気がする。

姉さんは今'命'という海に戻っていったんだ。
・・・私も、何時かはその海へと戻っていくんだと思う。
この”地球”という惑星の'命'の大海原へと・・・

 



↓目次

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