スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
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仲良し  [作者:ぽわん]

■ 1

「おい、優奈・・・さっき思ったんだけどよ、なんで女って顔に粉塗るんだよ。」

「あ〜ファンデーションね。女の子は大変よね。」

「アホ、お前も女だろうが。」

「まぁね〜。」

・・・とある学校の玄関での会話。俺と優奈は小さな島で育った幼馴染だ。
なんだかんだで悩みがあったら優奈に相談。面倒くさい宿題は優奈
に見せてもらう、いたずらをする時は、優奈に知恵をかりて・・・。
という感じで、いつもつるんでいる。

  中学生にもなると、周りの友達がとたんに色気づいていていて、
女ならファンデーションだの、口紅だの、ファッションだの、憧れ
の先輩だの・・・男なら、バンド始めようぜ!だの、クラスでかわ
いい女のアンケートだの、ちょっといやらしい話だの・・・
正直ついていけない。
それは優奈も同意見らしく、よく俺とつるんでいる。

「草平はさぁ〜彼女とかつくらないの??」

急に優奈が俺の顔をのぞきこんで聞いてきた。

「そんなもん、いらねぇよ。」

「なんで?」

「・・・なんでって、お前、そりゃ、いらねぇもんはいらねぇんだよ!」

「・・怒ることないじゃいのよっ」

・・・まぁ確かに怒鳴るまでもなかったかもしれない。だけどなんだかこう、
いたたまれない気分になっただけだ。

「草平、モテてるみたいだよぉ??クールでかっこいい!だってぇ〜。
私、友達に、草平と仲良くていいよねぇ〜て言われちゃったよ。」

優奈がからかうように俺を見る。・・・むかつく。。。

「黙れ、別に仲良くはねぇだろ。」

「えっ、仲良しじゃん!!今日の数学の宿題うつさせてあげたのは誰よ!」

「うるせぇ、帰るぞ。家まで競争な。負けた方、明日の昼飯の時のジュース
おごりな。」

「よしきた!!絶対負けないもんねぇ〜!!」

「いくぞ・・・よーい・・・ドン!!!」


そう言って、俺と優奈は学校から飛び出した。校舎から出たとたん、真夏の暑い太陽がギラギラ
射して、俺は目を細くしながら、前方を小さな体でがむしゃらに走る優奈を見た。走りながら突
然振り返って優奈が叫ぶ。

「私、ジュースはオレンジがいいなぁぁぁ!!」

「アホ、まだ勝ってねぇじゃんかっ!!」

笑いながら答えると、太陽の光のせいか、優奈がむしょうにキラキラして見えた。周りのファン
デーションやら、口紅やらをつけた女子より、ずっと優奈の方が、キレイ・・・というか、なん
か、まぁ、うまく言えないけど、良かった。



↓目次

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