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仲良し  [作者:ぽわん]

■ 7

「あたし・・・優奈が、あんたのことを恋愛対象にして見ていたかは知らないけど
あんたが優奈を好きなのは、なんとなくわかってた。 あたしは、2人がくっつい
たらいいなって思ってたんだ。草平なら、優奈が先輩と一緒になる前に優奈を奪っ
て逃げるんだろうなぁって思ってた。
なのに・・・・・・。あんたは切なそうに優奈のこと見てるだけで・・・。そりゃ
優奈は今幸せかもしんないけどさぁっ!!・・・・・・あんたは全然幸せじゃない
んじゃん。辛そうじゃん。あたしは、2人とも好きだから、2人とも幸せになって
ほしかったんだよっ・・・。」

そう美樹は一気に喋って、一言
「勝手なこと言ってごめん・・・。」
とだけ言って、教室を去って行った。


(切なそうな目で優奈のこと、いつも見てる。草平はいつも見てる)
(草平なら、優奈が先輩と一緒になる前に、あんたが優奈を奪って
逃げるんだろうなぁって思ってた。)

何度も 何度も 美樹の言葉が 頭の中をぐるぐる まわる


優奈・・・先輩・・・切ない・・・目・・・恋愛対象・・・
   奪って逃げる・・・幸せ・・・辛い・・・




        (優奈のこと好きだったくせに!!)




「うわああああああああっっ!!!!!!」

頭の中に押し寄せる何かが渦となって俺を飲み込んだ。
叫び声と一緒に、自分の周りにある机や椅子を、思いきり蹴飛ばした。

ガタンッ!! ガシャッ!!!・・・ガラガラっ・・・

「・・・・はぁ・・・はぁはぁ・・・・・・・。」

自分の目から涙がこぼれていた。 あふれだす。 止まらない。


痛かった。 切なかった。 辛かった。


優奈が誰かのものになるのがいやだった。


自分の知らない優奈を見るのが苦しかった。


「仲良し」って言葉だけじゃ 足りなかった。

気のせいじゃなかったんだ。


       俺は・・・・・優奈のことが・・・・・・。



↓目次

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