スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
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仲良し  [作者:ぽわん]

■ 6

  隆広先輩からの報告を聞いて・・・優奈と先輩がいつもいるようになって・・・
優奈とは一言も口をきかないまま・・・何日も何日も過ぎていった。

  そのまま そのまま どんどん時はこぼれて 流れて 流れて

  だけど先輩と付き合った後も、優奈は決して変わらなかった。
急に色気づくような感じもなかったし、メイクも相変わらずしないし、やっぱりバカ
みたいに笑っていた。
  優奈は色褪せないままだった。ひとつ変わったことといえば、先輩と話しながら照
れたような、嬉しそうな表情をすること・・・・・。それだけが俺の中の何かをしめ
つけていた。赤いトマトを片手に、ひまわりを見てはしゃぐ女の子を見たのは、いつ
のことだっただろうか。



  誰もいない放課後、教室の窓から優奈と先輩が一緒に帰るところを眺めていた。2
つしばりの小さい女の子は、玄関から出るなり走り出していった。後ろを慌てて先輩
が走り追いかける。太陽の光がめいいっぱい彼女を照らしていた。

「あのバカ、相変わらず帰り道走ってんのか・・・」

ふと声を漏らす。どんな女子達よりも、キレイ・・・だと思ったあの日。この気持は
きっと、今は先輩が抱いているだろう。負けずと走る先輩の後姿を見て、そう思った。

・・・ガラッ

教室のドアが開いて、とっさに後ろを振り向く・・・美樹だった。

「・・・なんだ美樹か。」

「なんだはないでしょうが。・・・話があんのよ。」

「・・・・・・何?」

俺と優奈が一緒にいるところをからかって、ニヤニヤする美樹と、今の美樹は違った。
怒ってる・・・ような、情けない・・・ような、そんな表情に俺は少し戸惑った。
そんな俺をよそに、美樹が大声で言った。

「優奈と先輩が付き合いました。あなたはどう思っていますか!?」

「はっ・・・ちょ、なんだよそれ。良かったじゃねえか。俺、いろいろと先輩に優奈
情報あげたからなぁ〜。」

その時、自分が懸命に笑顔を作っていたのは、自分自身がよくわかっていた。追い打ちを
かけるように、美樹がもう我慢できないと言葉をさらに続ける。

「優奈のこと好きだったくせに!!あたし、知ってるんだから!!・・・先輩と付き合って
から目もあわせてないでしょ!?話してもないでしょ!?・・・・・・そのくせに切なそう
な目で優奈のこと、いつも見て・・・いつも見てる・・・・・・・。
優奈のこと・・・・・・草平はいつも見てる・・・・・・。」


  美樹の目から涙がこぼれていた。



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