スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
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仲良し  [作者:ぽわん]

■ 5

  優奈を怒鳴りつけてここ1週間、優奈と話すことはなかった。

月曜日、朝、優奈に会ったがお互い一言も話さなかった。
火曜日、隆広先輩が「俺はやるぞ!」とか俺に叫んで、優奈に
     もし暇な日があればどこか行かないかと誘っていた。
水曜日、美樹が「何?めずらしいね、喧嘩?」と聞いてきた。
木曜日、家までひとりで走って帰った。
金曜日、優奈と先輩が一緒に帰ってるのを見た。
土曜日、部活に行ったが、優奈と先輩は休みだった。

日曜日・・・夕方の庭で熟れたトマトをとって、口に放り込んだ。
       真っ赤なトマトは、甘酸っぱかった。
       どこかで小さな女の子が、勝手に庭にはいってきて、すっ
       とんきょうでバカみたいな声をあげるんじゃないかと期待した。


  だけど、誰も来ない。優奈はこない。


  ひまわりだけが、まだゆらゆら揺れている。


  小さな女の子を待って、しばらく庭にいたから、太陽はもうとっくに
沈んでいた。母さんが、いい加減に家に入りなさい、と言うので、庭か
ら離れた。黄色いひまわりが、俺の背中をじっと見ていた。

  この日、優奈は、ただの女の子じゃなくなった。
  女の子は 彼女に なった
  彼女 彼女 彼女・・・。

  このことを聞いたのは、次の日の月曜日の、部活のない放課後だった。
  隆広先輩は、何度も俺に
  「ありがとう」「ありがとう」「ありがとう」
  そう言った。



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