スピッツ歌詞TOP>オリジナル小説>サンシャインTOP> 第2話 | |
サンシャイン [作者:檜山 キョウ] ■
第2話 「ナオちゃん、準備できたあ?」 薄いピンク色のワンピースをヒラヒラさせながら、ヒカリは窓枠をまたいだ。 「なに、ナオちゃんまだ着替えてもいないの」 「だってお前、時間の指定しなかったじゃんかよ」 「でも、もう十時なんだから。フツウ、この時間には起きてるもんでしょうが」 お前と違って俺は自堕落なんだよとつぶやいてみるが、ヒカリの耳には届いていないらしい。 「あらヒカリちゃん、来てたの」 「おばさん、おはようございます」 ドアの向こうで、母さんの声がした。僕の部屋が騒がしいから見に来たのだろう。 「ナオちゃん、着替えた?」 「おまっ、ノックぐらいしろよな」 「別に今更気にすることでもないじゃない。それより、早く行こう。待ちくたびれた」 ヒカリは小さい子供のように軽く飛び跳ねた。少し長い髪が、ヒカリの動きに合わせて肩を叩いた。 「歯だけ磨いてくる。先に玄関で待ってて」 「しょうがないなあ、早く来いよお」 ヒカリは一段ぬかしで階段を駆け下りた。ヒカリもあの頃とまったく変わっていない。
↓目次 【第1話】 → 【第2話】 → 【第3話】 → 【第4話】 → 【第5話】
| |