ハッピーデイ [作者:larkheart"95]
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第3章 「クモ少年が走る」
犯行当日 PM3:00
ジェットは郊外の公園でビルの見取り図を見ながら唸っていた。
予告は今日の午後10時と宣言していた。
標的はこの国で最も急成長している外資系ファンド「EMPRESS」の支社ビル。支社長が物
凄く高価な宝物を持っていると耳にしていた。
しかし今回ばかりは以前と違う気分がジェットの体内を駆け巡った。これが終わればケイ
トにプロポーズする!しかし今回は世界一の刑事と探偵が相手…
ジェットは不安を飛ばすためか缶コーヒーをぐいっと飲み干した
PM3:30 EMPRESS支社ビル4F大会議室
警察局のエリート幹部らとタイガー刑事、スパイダー少年がジェットを捕獲するための会議を行っていた。
「刑事、この屋上を始め、全ての窓を封鎖すればジェットも諦めるのでは?」
青年の警視幹部がそう提案した。しかしタイガーはため息をつきながら答えた。
「まだまだ君も青いな。ジェットのことだ、そんなことしようものなら排水管をつたって
でも、窓を強行突破して見張りの口封じするなりで易々とやられるわ。」
場に沈黙が流れた。だったら一体どうするんだと。スパイダーも黙って何かを考えていた。
「タイガー殿はどうしようと考えてらっしゃるのですか?」
この国の警察のトップ…頭が薄くなりかけたちょい小太りなオジサンみたいな人だった。
「ええ、いい作戦があります。先程スパイダー君にもはな…」
「ダメです刑事!そんなことしようものなら国の信義に関わります!」
スパイダーが声高くしてタイガーの発言を遮った。
場は騒然とし、名コンビの亀裂に焦った。
そして突然スパイダーは飛び出し、どこかへ向かった。
PM4:00 郊外の公園
「ここにいましたか。怪盗ジェット…」
突然声をかけられジェットは動揺して振り向いた。
そこにはまだかわいい感じの幼い少年…スパイダーがいた。
「なんだ、少年。私を見つけて警察に連絡するということか?」
ジェットは少年一人に捕まるとは思ってもないためにこう発言した。余裕っぽく笑ってい
たがひきつり気味で動揺はあると見えた。
「いいえ。たかが警察がきたくらいであなたが捕まるとは思わない。」
「では何しにきた?」
スパイダーは一息着いてからこう答えた。
「自首することを勧告しに来ました。」
ジェットは呆然とした。勧告?ふざけた真似を…そう思った。
スパイダーは続けてこう言った。
「あなたが今自首するか今夜を諦めないとこの国に惨劇が待っています。どうか…」
ジェットは喋り続けるスパイダーを手で制し、こう言った。
「男というものはやられっぱなしじゃあ気がすまねえんだ。今夜何が待ち受けようとも私
は立ち向かう。いい勝負を期待するぞ、少年!また数刻後に会おう!」
そう言い残してジェットは何処かへ歩き出した。スパイダーはそれを見送るしかなかった。最悪のときは近づいていた。
同刻 EMPRRESSビル
刑事の提案に一同が唖然とした。そんなことを警察にしろと…?永遠に歴史で叩かれるぞ?
そんな意見でいっぱいだった
「みなさん、でもこれが唯一の方法です。鬼のような怪盗も心はまだ人間のはずですから。目には目をですよ。」
しかしまだ納得のいかない警察にタイガーは一喝した。
だんだん脅迫じみてきたタイガーを止める術はないと警察は判断し受け入れた。そこがこの国の警察の甘さでもあった
30分後にスパイダーが帰ってきたときには部屋はもぬけの殻であったという
↓目次
【第1話】→【第2話】→【第3話】→【最終章(前編)】→【最終章(後編)】
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