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ただ春を待つ  [作者:きらり☆]

■4

学校も無事終了し、春休みに入った。
季節はいつの間にかすっかり春だった。

私は春という季節が嫌いだった。
嫌いと言うか苦手なのかもしれない。
新しいクラス、新しい学年、新しい友達。
私が今まで苦労して作り上げてきた全ての事を崩し、また一から作り直さなければならないからだ。

春休みの初めの三日間は一日中だらだらしていた。
しかし三日を過ぎると急に友達が恋しくなった。
奈々代や仲の良い友達に連絡してみるが皆旅行や家族で里帰りしていた。

仕方なく散歩がてらに自転車で走りに行こうと立った時、ふとあの建物を思い出した。
あの生き物の様な建物が遥貴の叔父さんのアトリエだったなんて。
私は急にもう一度見たいという衝動に駆り立てられた。
長い一本道を自転車でひたすら走った。
なんだかこの間より長く感じた。
途中、朝ご飯を食べてない事を思い出し偶々見つけたパン屋でサンドイッチを買って食べながら自転車をこいだ。
パンはまだ温かかった。丁度朝ご飯も食べ終わり空腹も満たされた頃、緑色の屋根が木々の間から見えた。
まさしくそれはへんてこな生き物の頭部だった。

 



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