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ホタル  [作者:三日月 遥]

■ プロローグ(第1章)

何のとりえもない普通の僕、普通の生活。
そんな僕が初めて見た夢… 幻…  十五の夏、それは、哀しいほどささやかな光ー。


〜プロローグ〜  すべての始まり
「ばいばい。翼、また明日!!」
そういって友達と別れた。自転車と人が行き来する土手の上で僕は鼻歌を口ずさみながら帰っていた。
僕は黒井 光。。。中学三年生になって…初めての夏休みは楽しい物だと思ってた。

いつも僕は家の中か病院にいた。
生まれたときから病弱で、入院と退院を繰り返していた。
中学生になってからは初めての夏休みで、友達も喜んでくれた。

土手の下には川が流れていて、夏になったらホタルがたくさん現れる。とてもきれいな川だ。小さい頃によくお母さんに連れていってもらっていた。
冬に「ホタルが見たい!」とだだをこねた事もあったらしい。
それぐらいきれいな川だ。僕はこの川が大好きで、毎日眺めて帰っている。

今日もそんな川を眺めて…………。え?
一瞬僕は目を疑った。川沿いに生えているヨシの間から女の子の手が見えるのだ。
ネイルを塗っていたので女の子の手だとわかった…が。
下半身はずぶ濡れ、倒れ込んでいるようにも見える。

ーーー…やっぱ助けなきゃいけないよなぁ…ーーー。
僕は走って土手を降りて助けに向かった。
その子は意識はないけど息はしていた。でも体も冷えきって、手も口もほとんど動いていなかった。
濡れてる…  僕…持って行けるかなあ…。無理かな…。

気づいたときにはもう肩に彼女の手があった。



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