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神様のサイコロ  [作者:ユウコ]

■ 第6話 Last Dice (3/3)

私は家の扉を思い切り力を込めて開けた。すると、無表情で立っている少年が姿を現した。

私はつばを飲む。そして深呼吸をした。

「サイコロが見えるのは、あなたが勝手に他人のサイコロを振ったからでしょ?
あなたは神様でもないのにサイコロが見えるなんておかしいと思ったわ。
私なりの神様に対する答えがでた。それには感謝するわ」

少年は何も言わない。私は言葉を続ける。

「やめて。もう私のサイコロは振らないで!」

少年は真っ直ぐ私の目を見た。私は空気が暗く、重たくなるのを感じた。

少年は灰色の目をギラギラに輝かせながら、私を睨み、肩を掴もうとする。私は無意識に払いのける。
じわりじわりとやってくる冷たい感触。それがきっと命の危険というやつだ。

「知らないほうが良かったときもあるんだぜ。悪いけどお前には・・・・・・」

「あなたはここにいるべきじゃない!!拓実、神様は・・・・・・」

私は叫んだ。少年は驚いて立ちすくむ。私は少年を力一杯、抱きしめて耳元で囁いた。

神様は・・・・・・。

少年は納得したのだろうか、気が付けば私は紅茶の缶を抱きしめていた。

手のひらには小粒の水滴が浮かんでいた。それは真っ赤な夕焼けに反射していた。



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