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神様のサイコロ  [作者:ユウコ]

■ 第4話 川にいるおばさん(4/4)

少年は墓の前に立っていた。私は空になったバケツを持って静かに歩き始める。

「おい」

少年は私を呼び止める。

「なに?」

「何故、墓参りに・・・・・・?」

少年は無表情だったが灰色の瞳の奥には怒りが浮かんでいた。

「あなたが生きていた証がここにあるから」

私はそれだけを言うと踵を返して再び歩き始めた。

少年は墓石に刻まれた名前を見つめた。

「生きていた証か」

頬に涙が滴る。

その涙は墓石の割れ目から顔を出した名もない花びらの上に落ちた。

 



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