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神様のサイコロ [作者:ユウコ] ■
第4話 川にいるおばさん(3/4) おばさんと一緒に魚が沢山とれる場所に行こうとしたんだ。 あれ、おかしいな? 僕はどうしてここにいるの? そういえば歩く途中僕はおばさんがいい匂いのする袋の匂いをかがせてもらってたとき、頭がフラフラしたんだ・・・・・・。 「目が醒めたみたいね」 冷たくて深い憎しみがこもった声に拓実は背筋が冷えた。 「とうとうやって来た。あいつらに報復してやれるわ!」 おばさんは甲高い声で笑った。拓実は身の危険を感じ逃げようとしたが、体は紐できつく縛られ身動きできなかった。 「大丈夫。すぐに楽にしてあげる。そして、良いことを教えてあげるわ。」 拓実は何か言いたかったが声の出しかたを忘れてしまった。 「あなたのお兄さんは私が産んだのよ」 その言葉に拓実は頭を思いきり殴られたような衝動を受けた。 「ち・・・・・・違う!!」 「違う?あの女、言っていなかったのね!あなたのパパを私から奪って、愛するショウまでも奪われた。あの女、まるっきり自分の子供にして!!」 昌子はサバイバルナイフをふりかぶる。 右肩に激痛が走る。拓実は叫んだ。 今度は脇腹に激痛が走る。拓実はあまりの痛みに叫べなかった。 右肩と脇腹からは噴出すように血が溢れてくる。昌子はそれを満足そうに眺めていた。 拓実は意識が朦朧としていた。 「あなたは、なんて不幸な子供なんでしょうねぇ。あなたがいなければこんなことにならなかったのよ」 朦朧とする意識の中、拓海が聞いた最期の言葉だった。
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