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神様のサイコロ [作者:ユウコ] ■
第4話 川にいるおばさん(2/4) 私の愛する人を奪った女。 許さない。 私の愛する息子を奪った男。 昌子は暗い部屋で一人、煙草に火をつける。ゆらゆら 揺れる煙が私の心を落ち着かせてくれる。 昌子の背後には子供が入れるくらいの段ボール箱と暗闇の中で静かに光るサバイバルナイフが置いてあった。 この日のために私はどれだけ廻り道をしたのだう・・・・・・。 捨てきれない憎しみを抱えたまま暗闇の中をはいずりまわして希望とか幸福という光を求めていた。それ 目には目を 歯には歯を ならば不幸には不幸で報復してみせる。 昌子は川の畔に座っていた。彼らが来るからだ。 「おばさーん!!」 元気な声が昌子の耳に届く。昌子は立ち上がり、彼女の元へ駆け寄ってくる兄弟に向かって大きく手を振った。 「おばさん!今日は魚とれるかな?」 兄が聞く。 「さぁ、どうかな?」 「早く!一緒にやろ!」 弟が昌子の手を引く。昌子は兄弟と魚とりを楽しんだ。 しばらくして、川の畔で休憩した。 「小さいのばっかしかとれなかった・・・・・・」 弟は残念そうに呟く。 「あっ!ちょっとトイレ!」 兄はそう言うと茂みの中に入っていった。 昌子は心の底からなんて自分はついているのだろうと思った。 昌子は立ち上がり、 「そうそう、いい所、教えてあげるわ。魚が沢山取れるところよ」 「ホントに?」 昌子は手を差しのべる。弟は茂みの中にいる兄が気になったが、すぐ戻ってくると思い、死神が差しのべた手を握り歩き始めた。
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