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神様のサイコロ  [作者:ユウコ]

■ 第4話 川にいるおばさん(1/4)

それは あまりにも残酷で悲しい話だった。

「写真、撮りますよー」

どこにでもありそうな結婚式。将来を誓った二人は幸せそうに微笑んでいた。

結婚式から早10年。

二人の間には二人の子供がいた。
二人とも男児で元気いっぱいで近所で有名な悪ガキだった。

「ママ、今日は川に行ってくる!!」

兄のショウと弟の拓実は水中メガネと虫取り用の網を両手に言った。明美は優しく微笑んで、

「そうねぇ・・・・・・、今日は天気がいいから行っていいわよ。でも川は危ないから深いところに行っては駄目よ」

川に遊びに行くのはいつものことなので明美はあまり心配していなかった。

ショウと拓実は歓喜の声を上げながら家を飛び出た。

明美は子供の後ろ姿を玄関先で見送った。

それが最後の姿になるとは明美は想像もつかなかった…。

異変に気付いたのはショウが顔を真っ青にして家の中に入って来たときだった。

「拓実が・・・・・・拓実が・・・・・・」

「ショウ、どうしたの!!」

明美はショウの体を揺さぶる。拓実の身に一体、何が?

「うっ・・・・・・。いつも川にいるおばさんだったから大丈夫だと思ったんだ」

ショウは床にへたりこんで放心していた。

・・・・・・いつも川にいるおばさん?

明美は悪寒を感じた。同時に足元の床がぐにゃぐにゃと動き出す。
ショウが鼻をすする音がが遠くから聞こえた。明美はとある記憶と共に床に崩れ落ちた。

 



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