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神様のサイコロ  [作者:ユウコ]

■ 第3話 Unhappy Birthday

エミリーはスキップをしながら帰路についていた。

今日は年に一回、私が生まれた日を祝う記念日。大好きな家族とレストランに行って美味しいものを食べるんだ。

エミリーは公衆電話の先にある曲がり角を曲がった。

あれ?街の様子が変・・・・・・。

エミリーはとっさにそう感じた。建物の玄関から黒いスーツ姿の怖そうな人が睨みあいをしている。
まただ・・・・・・、ママが言ってたマフィアたちだ。

エミリーは不安を感じながらも走らず早歩きで家へと向かった。

走ったら、あちらこちらに、はりつめられた糸が切れて良くないことが起こりそうに感じたから。

建物の壁にもたれている男らは無言でエミリーを睨む。

彼女にとっては重苦しい時間だった。小さな身体に降りかかってくる真っ黒な恐怖という荷物を引きずって歩くようなものだ。

誰か・・・・・・誰でもいいから!!

はりつめた空気を貫くように銃声がなり響く。エミリーは銃声と共に走り出した。

建物の中からマフィアたちがどんどん飛び出す。エミリーは家の門に辿り着き、門を開けようとしたが…

「きゃ!!」

いきなり襟首を強くつまかれたのだ。そして、エミリーは正面を向かされた。

バンッ!

耳に響いたのは彼女の誕生日を祝う歌声でなく冷たい銃の弾が体の中に入っていく音だった・・・・・・。

テレビから悲しみにくれた人々の映像が映し出されていた。

とある国の少女がマフィア同士の扮装に巻き込まれ、マフィアの銃撃の盾にされて亡くなり、
それを知った彼女の両親が強い憤りをあらわにしていた映像だった。

少年はただ無表情でテレビを眺めていた。




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