スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
スピッツ歌詞TOPオリジナル小説神様のサイコロTOP>神様のサイコロ_03

神様のサイコロ  [作者:ユウコ]

■ 第2話 クリスマスの奇跡

夜景の煌めきに包まれた二人を祝福する銀色のベルの音。彼らはそう・・・・・・。

二人はいつも一緒だった。食べるとき、遊ぶとき、寝るときも。

二人で裏山で結婚式を挙げたこともある。そんな幼少時代を過ごしていた。

だが、そんな日々は長く続かなかった。

愛の両親が離婚をしたのをキッカケに二人は離れ離れになってしまった。

友春と愛はお互いのことを忘れないと心の底から誓った。

それから20年という年月が流れ・・・・・・。

「神様っていじわるだね」

私はソフトクリームを舐めていた。少年は横目でソフトクリームを睨む。

「だろうな、今のお前みたいに」

「・・・・・・は?」

「じらしてないで、くれよ!」

「何、言ってんの?」

私は少年の言葉にキョトンとしていた。

愛は子供を連れて買い物に出掛けていた。
デパートの子供はおもちゃ売り場を見ると一目散にそこに向かって走った。
愛は子供の襟首を掴む。

「今日はおもちゃ買いに来たんじゃないんだから!」

子供は頬を膨らませる。

その時、愛の目に一組の家族連れが映った。
愛は思わず息を呑む。昔の面影を残したままの友春の姿だった。
友春は娘との会話に夢中で愛に気付かなかった。
友春の妻は妊娠中でお腹が膨らんでいた。
愛はしばらく身動きできなかった。何かが彼女を引き留めているようで・・・・・・。

「ママ、パパが呼んでるよ!」

子供の声に我に帰る愛。愛は幸せそうな家族の笑い声に背を向け歩き始めた。

愛は夜景を眺めていた。主人に先立たれ、子供は巣立ち、いつの間にか時だけが過ぎていた。
イヴの夜は若い二人でいっぱいだった。愛は深い溜め息をつく。

何故こんなところに来たのだろう?

ここは幼いころ友春と結婚式を挙げた裏山だったから・・・・・・?

「あなたはあの頃に比べて美しくなりましたね」

愛の背後から男性の声がかかる。愛ははっとして振り向く。愛は分かっていた。

彼が誰かを。

「・・・・・・友春!」





↓目次

【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】 → 【8】 → 【9】 → 【10】 → 【11】 → 【12】 → 【13】