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田舎の生活 [作者:瑛] ■4 「うわー」 海の荒れぐあいを見て彼女が声をあげた。 「すごいことになってるよ」 今年、初めての台風上陸。彼女はじっとテレビを凝視していた。そしてふっと、その表情が陰る。 「…農家の人たち、大丈夫かな」 テレビから、比較的落ち着いた声で、「地崩れや、地滑りにお気をつけ下さい」との注意が流れる。 「…ごちそうさま」 彼女はハッとした様子で俺のほうを見た。にこりと笑って、彼女も「ごちそうさま」と続ける。 「漬物以外は、おいしかったですよ」 ふざけるように敬語で言ってみると、彼女は少し恥ずかしそうな、変な表情を浮かべた。 「つけものは、ちょっと味付け失敗したかなぁって…」 彼女は食器類を片付け始めた。俺も一緒になって、お椀などを重ねていく。 「あ、いいよ。私がやる。直ちゃんはお風呂はいっていいから」 彼女がニコリと笑ったのでなにをいうのかと思えば、「今日だけ新婚さん」と楽しそうに言った。
↓目次
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