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ロビンソン  [作者:リンゴ]

【5】

彼との練習の日が何日か過ぎ、すでに7月だった。
もう少しで夏休みだった。

相変わらず彼とのバレーの特訓は続く。

私も彼も日に日にうまくなって行った。
運動嫌いだった私をここまでしてくれたのは彼のおかげだ。
と、言ったら彼は照れ臭そうに、耳の後ろを下記ながら朱く霞む夕陽を眺めてた。

ここでもあたしはなぜかその姿にドキドキしてしまう・・・

これは・・・?恋の始まりなのだろうか〜?

「今度、先輩の引退試合があるんだけど、お前も見にこないか?」
彼が誘ってきた。
「どうやって行くの?」
「会場は電車で2・3個行った駅だよ。そっから歩いてすぐ。」
「へぇ・・・いつ?」
「7/23だよ。」
「女子の方は7/31だから、行けるかもね!」

男子の方の試合を観るのは初めてだった。

「じゃぁ・・・いつもの交差点で。」

そして迎えた7/23。
マンモス広場の近くの交差点で彼は待っていた。

「まった?」
「いや。。。待ってないよ。」

今わかった。
今私は彼と二人きりなんだ・・・。誰も周りにいないんだ。

だんだん顔が火照ってきた。
その顔は真っ赤に染まり、今にも爆発しそうなくらいだった。

会場の熱気は外に負けないほど蒸し暑く、何もしてないほうが汗がたれるほどだった。

なんと、私の学校は強いで有名だったらしく、あっという間に敵を倒してしまった。


そして迎えた決勝戦。これに勝てば県大会に進める。
しかし、はじまってまもなく、エースのアタッカーが相手の足を踏み、その場で転倒。
一瞬会場がしらけた。
頭を強く打ったのか、立ち上がってこない。

隣にいた彼は青ざめた顔で応援席から身を乗り出していた。
「先輩!!先輩!!」

結局アタッカーの人は、意識が戻らず、救急車に運ばれて行った。
大事なエースがいない中、チームに気合いが入らず、私たちの中学校は負けてしまった。

誰もが泣いている。彼も泣いていた。
私もなぜか涙があふれた。

あんなにたくさん勝ってたチームが、1人失っただけでこんなに変わってしまうとは・・・




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