スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
スピッツ歌詞TOPオリジナル小説ロビンソンTOP>リンゴ_04

ロビンソン  [作者:リンゴ]

【4】

放課後の部活。彼は、バレー部に入っていた。ぎこちなく、弱々しいサーブを打っていた。

私は、なぜか、彼の近くで部活をやりたいと思った。

しかし、私は運動は苦手で、声を張り上げて、ボールをとったり、転んだり、
あたしには・・・無理・・・

しばらくずっと眺めてた。

「どうしたの?バレー部は入りたいの?」
「わわわっビックリしたなぁ。」

ボーとしていたのか、彼が近くにいることはまったく気付かなかった。
「あ・・・私は良いよ。運動神経ないし〜」
「そうなの?でも、やってみれば?バレーなんて、難しいよ。でも、とっても楽しいんだ。」
「なんで?」
「今は大変だけど、バスケより、野球より、サッカーより、1番チームワークが良くなるから。
  俺はまだ下手だけど、キャプテンとかになって、大きな試合に行きたいんだ。」

彼は輝いていた。

「そうだ!俺が教えてやるよ!」
「!?」
「どこに越してきたの?」
「4丁目の1番地・・・」
「近いじゃん!教えてやるよ!だから仮入部でバレーやってみたら?」

彼が教えてくれるなら・・・恥ずかしいけど・・・

「・・・・・・やってみようかな?」
「良し!決定!」

彼は満面の笑みを浮かべていた。

「よし!じゃぁ・・・早速。帰ったら特訓だぁ!」
「!?ホントに?」
「当たり前じゃん!お互い知り合いなんだからいいだろ!とりあえず申し込みしてこい!」




近くのマンモス広場。大っきい公園だけど、遊具がなく、寂しい公園だった。
ばっちりジャージのまま。彼を待っていた。

私が到着してすぐ彼はボールをもって走ってきた。
「ゴメン!待った?」
「あたしも今来たところだよ。^^」

アンダーハンド・・・オーバハンド・・・
彼は呪文のように、難しい言葉を繰り返していたが、彼の教え方は、とっても分かりやすく、
うまかった。

「おまえ・・・スげぇじゃん。運動神経ないって嘘だろ?」
「ふふ・バレーって楽しいね!」
「そうだね、その調子!」

今日。あたしは、アンダーハンドが出来るようになった。



次の日も彼はマンモス広場に来て、その次の日も次の日も、飽きることなく来てくれた。

私も少しずつではあったが、確実にうまくなって行った。

と、同時に、何か変な気持ちも大きくなって行った。




↓目次

【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】