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ロビンソン  [作者:リンゴ]

【3】

私は少しドキッとした。
なかなか彼の顔を見ることができない。

だんだん私の顔が火照って行くのが感じた。



幼稚園の頃。大好きだった彼との思い出。
私が小学校へ入学と同時に転校してしまうことを知った彼は、
息を切らしながら私の家まで走ってやってきた。

「どうしたの!?」
「ど・・・どうしたじゃないよ!何で言ってくれなかったんだよっ!」
「だって・・・言うと寂しくなるんだもん・・・」
「これ・・・」
「うわぁ・・・・いいの?だって、大切なものでしょ?」
「うん。でも、忘れて欲しくないから・・俺のこと・・・」

照れ臭そうに耳の後ろを掻きながら言う彼
今でも持ってるよ。あの時もらった大事なオルゴール。
寂しいときも、悲しいときも、嬉しいときも、幸せなときも。
何かあった日はいっつもハートのねじを回してこの曲を聴いてる。

「ロビンソン」

この曲を聴くたび、彼を思い出す。だから忘れないよ。



その時、彼が話しかけてきてくれた。
「・・・・・久しぶり・・・」

あの時と同じクセ。また耳の後ろを掻いてる。変わらないんだなぁ。
「うん・・・元気だった?」
「うん・・・あ・・・まだあれ持ってる?えっと・・・」
「オルゴール?もちろん持ってるよ!毎日聞いてる!」
「ホント!?もう僕のこと忘れちゃったと思ってたよ、良かった」
「忘れるわけないじゃんよっ!」

彼と話してるときの時間だけ、時間はゆっくり流れた。
幸せに感じた。




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