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5分間だけの甘い手  [作者:レモンライム]

【3】

とその時。

クラスメイトB「・・・ク・・クク」

クラスメイトD「ククック。。。」

クラスメイト全員「・・・はーはっはっはっは!!!ワハハ!っはああああっはああはっははっは!!」



・・・!俺は一瞬何が起きたか分からなかった。急にみんなが笑い出したのだ。
一人涙している俺はいつの間にか浮いていた。周りは腹を抱えて笑っている。俺を指指して笑う奴もいた。

島田「何がおかしい!!!?」

その時、溝の中から一人の男がゆっくりと起き上がった。
前野だ。

島田「ま、前野・・・」

前野「・・・」

島田「お前・・・まさか」

前野「・・・その通り。ドッキリさ。」

島田「・・・!」

前野「・・イヤほんと笑えたよ。お前のあのマジ顔!。アレは傑作だぜぇ!。」

島田「・・・」

前野「ほおら、この頭の血。ペロッ!あ〜〜オイチ。とても美味しいトマトケチャップだこと!」

クラスメイト全員「ワ〜〜はあああっはははっははあははっはあ!!」

俺以外みんな笑っている。

前野「あのなあ。島田。お前を驚かすために苦労したんだぜ。無傷で倒れたりとか、タイミングよくケチャップ発射したりとか」

島田「・・・」

前野「そして何より。お前みたいなやつと毎日剣道ごっこしたのが1番辛かったね。この日のためだけに。」

俺はそのコトバが日本語だと信じたくなかった。
そして奴らの俺に対する猛攻は続く。

前野「オレさあ。ジャンケンに負けちゃってさァ。そんでこのドッキリ企画の1番イヤな役させられたんだよネ。」

クラスメイトA「お前みたいな奴と遊んでくれるヤツなんか、いるわけないだろ?」

クラスメイトB「前野にありがたく思えよ。」

クラスメイトC「お前見てるとムカつくんだよ!」

クラスメイトD「友達もいないくせに毎日デカいツラしやがって。」

クラスメイトE「あ〜スッキリした。お前のマ・ヌ・ケ面」

クラスメイトZ「一ヶ月も前から計画されたドッキリだぜ?完成度高いだろ?」

クラスメイトX「まあそれもこれも前野のおかげだけどな。」

前野「みんなオレの演技見たか?なかなかだったろ?」

前野「島田君よォ。みんなスッキリしたみたいだから、これで勘弁してやるよ。」

前野「最後にこのデコピンをくらいな。アラヨっと。」

俺はデコピンをくらった。全然痛くなかった。
その代わり汚いものに触られた気がした。

前野「このカスが!これからはもっと謙虚でいろよ。」


そう言って前野をはじめ、クラスメイト全員が俺に背を向けて教室へと帰っていった。
フと俺の手に握力という力が加わった。
今までずっと友達だったと思ってたのに・・・前野。


俺は前野の背中目掛けて、思いっきり走った。
ほうきを握りなおし、カラダ全体に力を込めた。

1メートル手前に来たところで思いっきりジャンプし、ほうきを振りかぶった。
前野は俺の足音に気づき後ろを振り返った。
俺はその前野の顔面にコレ以上ない一発を浴びさせた。

『バキ!』

前野はふらつき、ゆらゆらと揺れて、最後にバタンと仰向けになって倒れた。

本当に前野は死んだ。

そして、今度こそ周りが凍りついた。
なぜか、一瞬ざまあみろと思った。
そして、カラダが勝手に動き・・・

前野の顔についたケチャップと血の混ざった液体を指で舐め・・・
「まずいケチャップだな。」


そう言った直後、5限目のチャイムが鳴り響いた。
とても長い5分間だったと思う。                  



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