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浩輔のスピッツと不思議な世界  [作者:レモンライム]

【2】

オレは昔から音楽が好きだった。
ヒマさえあれば聴いている。通学中、休み時間、アウトドア・・・
もしかしたら受験勉強に手がつかなかったのは、この音楽のせいかもしれない。


30GBのiPodを買ったのは京大入学宣言をした直後だった。
これは単に受験勉強の気晴らしに使おうと思っていただけだ。
最初、ミスチルのアルバムを全て入れたが、そのサイズはヘでも無かった。
まだまだ入る!
オレは毎週ヒットチャートを独占する楽曲を全てネットから買い揃えた。
あれから2年以上経つがいまだ、iPodの残量はたっぷり残っている。

しかし、お金の方の残量は底を尽きていた。
もう楽曲を買えなくなっていた。
そもそも、こんなに買い揃えることに意味があるかどうかも疑問に思っていた。
2,3回聴いただけでもう聴きたくなくなる曲が沢山あった。
まさに無駄遣い。こんな曲どもなんか買わずに、コンビニのポッキーでも貪ってる方がだいぶマシなのであった。
それに気付かずバカみたいに同じ日々を繰り返していたのだ。
なんだか急に悲しくなった。
もう受験まであと一ヶ月しかない。
なのにオレはずっと音楽を聴いていたんだ・・・

・・・・・・・あの時勉強しとけばよかった・・・・・・・・

そう、あの修の誕生日会の日から・・・
あの日から毎日やってたら、今こんな辛い思いをせずに済んだのに。
あと一ヶ月で何ができるって言うんだよ!!!
畜生・・・畜生・・・
オレは泣いた。生まれて初めて自分から泣いた。
案の定オレには部屋があったから、その姿を家族に目撃されずに済んだ。
今のオレには支えが無かった。なにも。
親からも見離され、修は最近オレを軽蔑するようになっていた。
オレのなまけ面を見て、呆れたのだろう。


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