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ミカンズのテーマ [作者:ミカンズ]

■6

僕らはとりあえず練習した。僕のドラムの音で始まる。いつもの曲。

「ロックンロール。」

パンパンパンパン漫画本の音が響いた。お笑い番組のモザイクの変色とともに。
これじゃあまるでフライパンでパンパンと叩くような音。最初が肝心なのに。
ユウスケのギブソンが歌声を出した。ひきにくそうでみにくい顔をした、玄が引っ張り出ているギブソン。
負けじとちづるのベースがひびく。雲の上を飛ぶ飛行機みたいにゆらゆらと。

「you.my-tommy」

玄の低くてマイクから通らない歌声。小さくて可愛らしくない歌声が飛び出た。
次はコップを叩く、次は赤ちゃんのお遊びみたいな鈴の奴。
ドラムじゃないのに僕は必至だった。
みんなに負けないよう。一人だけくじけないように。
そしてきた、中間ギターベースのソロパート。僕はリズムを作らなければならない。
漫画本で。「you-my」玄の声はやんだ。大雨が降っていたが一気にやむ感じで。
ギブソンとベースが競争している。これじゃあドングリの背くらべのよう。やばい
乱れて来た。分かってない二人は自分勝手に音楽を演奏している。
僕が「やめっ。」と言おうとした時商店街と学校に設置してある大きい山の奥まで聞こえるステレオから緊急連絡が出た。
それは、「日本一偉い方が死んでしまった。という緊急連絡。」
ちづるのお兄ちゃんが言ってた通り。献血すれば良かったのかな。



僕らはうずくまって動けなくなった。




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