ミカンズのテーマ [作者:ミカンズ]
■5
ちづるの家は中に入ってみると普通だった。
教室二倍ぐらいの大きさのリビングの横に階段があって上に上がるとトイレ洗面所。
その反対側にはちづるの部屋があった。
「うわーファイファイに、いろんなロックバンドのポスターあるやん。どうしたん。」
ユウスケがちづるの部屋の天井を驚いたまなざしで見ていた。
「お兄ちゃんが実を言うとファイファイのサポーターやっとんねん。ドラムの奴。」
「え!?そうなん。マジかいな。あのドラムの人うまいなぁおもってたらちづるの兄貴なん。」
「でもバイト感覚でやってるし、元兄貴なんだ。ウチの親離婚して母さんと二人暮らしなのウチ」
ちづるがユウスケと淡々と話を続けている。
僕と玄はファイファイぐらいしか分からないから、二人にこういった。
「ちょっとー客に座布団ぐらいしいてよね。こんな狭い所じゃ練習本当に出来んの?」
玄が怒った感じで言う。「大丈夫よ。上に屋根裏部屋あって、汚いけどそこウチの家で一番広いから。」
「関係ないでしょ。」僕が初めて声を出した。
「そんなことより練習しよ。ほなはよ楽器用意しよう。」ユウスケが言った。
僕らは四角形のテーブルに楽器を置いた。横には壊れて一日中ついたりつかなかったりするテレビがある。
そうちづるが言ってた。
みんな持って来た楽器(ぼくは座布団と漫画本で叩くドラム。)を用意しだした。
「そういや、兄貴と昨日あって行ってたんだけどファイファイの全国ツアー中止するかもって。」
ちづるが言った。「なんで?」僕が言うと
「なんか分からないけど日本で一番偉い人、、えーと、、。」
「早く続けて。知りたいから。」ユウスケが気になってのかこういう。
「なんか偉い人がいま病気なんやて。だから献血とか行かないと、死んでしまって、お笑い番組やコンサート出来なくなるって。」
僕も日本史とか勉強は得意じゃない。日本で一番偉い、生きてる人?あんまり分からないけどとりあえずコンサートが出来なくなるって、、。
「インフェスは!?やんないかもしれんの!?」
「うーん。分からないけど。まぁ二週間も先やろインフェスは大丈夫や。」
もし偉い人が今日死んだら、二週間後はちゃんと無事にライブに出れるんだろうか。
インフェス一日前に死んでしまったとしたら?練習してないのにこんな緊張してしまう。
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