スピッツ歌詞研究室 オリジナル小説
スピッツ歌詞TOPオリジナル小説>ミカンズのテーマ_04

ミカンズのテーマ [作者:ミカンズ]

■4

バンド結成して、三日と五時間三十六分。はかったらそうだったの。アタシは妙に気になったから、ミカに言った。
「ねぇ。なんか、練習した方がいいんとちゃうの。」するとミカは
「そうだなぁ、、、。でも練習出来るような音楽店あるか?」と言い返して来た。
そうきたか。アタシ達のいる学校の近くの団地と住宅街にちづるもミカもアタシもユウスケも住んでいる。
団地を抜けると住宅街があって、住宅街を抜けると畑。畑を抜けるとお墓。そんな感じ。
学校の後ろには、山があって、山を抜けた事は無いから、分からない。練習出来るのはやっぱし
お墓を抜けて、商店街についてその商店街をまっすぐ行くとある、山口音楽店ぐらいだと思った。
「山口音楽店は遠いよなぁ。あれ俺らの音速飛行機急ママチャリでも30分はかかるし。商店街もいっちゃいけんのやろ。」
ユウスケが途中参加。商店街は、悪いお偉いさん達が集まっていた頃があって、今は違うんだけど。商店街じゃなくなっちゃったし。
「どこがええんやろうなぁー。」アタシが猫みたいに叫んだ。

「私の家やったら、地下室あって出来ると思うけど。どうかな」ちづるが走ってやって来た。
「え?ちづるんちって地下室あんの!?」ユウスケが驚いていう
「地下室っていうか、楽器倉庫みたいなもん。お兄ちゃんめっさ楽器すきやから。」
知らなかった。ちづるって一人っ子っぽいから。
「じゃあ、ちづるの家で、ライブ練習して見ようや。」アタシが自信満々に言った。
「でも、ちづるの家って、大豪邸やろ。そんな壊したらなんぼも払えんで。」
ユウスケがおそるおそる言った。最近の噂が気になったんだろうか。アタシは気にしてなかったけど。
ちづるの家は、大金持ちの大豪邸って言う噂が立ってる。くらすの女子が流し始めたんだけど、
本当らしい。アタシの友人(ひー)も言ってた。
「大丈夫や。ウチの家なんて豪邸でも、高層ビルでもないで。気にしないで上がって欲しいな。」
「俺はどうすればいいん。ドラム。」ミカが言った。
「そりゃーあんた、座布団で叩きゃ良いでしょう。アタシだって、トランペット持って来れへんし。」
するとちづるが。「玄は、ほら。ボーカルだからさ。トランペットだって今日の練習の時入らないでしょ。」

そんなこんなでこんな暑い日に屋上で喋るのもなんだから、ちづるのいえに放課後行く事になった。
学校から、メンバー4人ともママチャリだから、15分ぐらいで着いたかな。
見上げるほどに高いビルに金ぴかの自動ドア。山ぶっ裂いてまでやっぱり作ってたなんかってちづるの家やったのか。
「うぁー。」暑さに負けんよう、アタシが声を張り上げた。
「すごい家やなぁ。何階建てや。なちづる。」ユウスケとミカが声を揃えて行った。
するとちづるがスキップをして。「ここじゃないで。あっちや」と人差し指で山の奥の方をさした。
「自転車止めてここから歩くんや。当たり前やろ。だからいったじゃん。大豪邸じゃないってここからまたあるくの」
大豪邸は一瞬にして山奥へ消えてしまった。「やっぱぁ、、噂だったんやなぁ。」
山を登りながら、ミカが言った「当たり前やー。噂流した奴嘘つきやっていってやってー。ちづるが言った。
歩いて、二十分ようやくちづるの家らしき所に着いた。
「ここー。団地?」
古びたレンガの積み木が崩れ落ちそうなぐらいあって、何個も同じような形をした二、三階建ての家が立っている。
「ここねーおじいちゃんが作ったの。ここぜーんぶ私とお兄ちゃんとお母さんとお父さんの家。」
まさかと思って入ってみたらそこは、おんぼろで溶け出しそうな家だった。




↓目次

【1】 → 【2】 → 【3】 → 【4】 → 【5】 → 【6】 → 【7】 → 【8】 → 【9】 → 【10】