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ミカンズのテーマ [作者:ミカンズ]

■3

次の日、玄がもっそいぶすぶすした顔をして、
「ちづる、本当に入るんかいな。嘘やろ。」と写メール付きのメールを送って来た。
ユウスケにもこんなメール送ったんかいな。と言おうと思った。でも、玄が怒るから辞めた。
おとといは、ちづるを急に入れたいだなんで言って悪かったとは思う。でも、玄は許してくれるんじゃないかと思った。
いい訳だよ。あー神様どうしよう。

「入れるかは分からない。でも、保留メンバーやな(^口^)b」 ちょっと明るく、うぶに雑に絵文字使用。
すると、ちづるから電話がかかって来た。「充電キレかかってるねん。はやく用件言ってや。」
ただでさえ、玄がちづるに怒っているのに、ちづるから電話は気まずいとは馬鹿でも思う。
「今、アンタの家の食堂にいるんやわぁー。ここのチャーハンおいしい。なぁ、今から、シロツメクサ公いかへん?」
あ、俺の家は、食堂。はやま食堂。お母さんが料理作って、皿洗って、接客。お父さんは、ポッコリ死んでもうた。
「ええよ。でも、今日やけに寒いらしいで。あんま長い時間入れへんよ。」 「ええわー。ほな」
僕が、二階から、一階に行くと、いいニオイがぷんぷんしてた。そして、裏を通って、靴はいて、お金もって、コンビニでアイス買った。
ちづるの分も。

「あ、ちょっと。葉山これ当たり券付きやん。」 アイスをむき取って、ごろんと寝転んだ。
僕はそんな事知らない。安いのを選んだ。当たり付きでも、ちづるにあげようと思ってた。
唐突に、「なぁ。ちづる、絶対玄に嫌われとるよね。」とちづるが言った。
「そうかなぁ。俺はちゃうと思うんやけど。」  「まぁ、ユウスケは何も考えてないだろうね。」
二人で笑った。「ちづるね、ユウスケに賛成って言われたときちょっと嬉しかったんや。」
「お前、ユウスケの事好きなのか?」
本音を心から漏らしてしまった。「そうやない。気になるだけや。でもなー。」
まっかになってるぞ。頬が。僕がちづるを見てるみたいに。
「なぁ。葉山、ちづるはね、バンド本当にやりたいの。 今まで、何も出来なかったから、ほら、玄ともおなじマンションなのに、、、、。」
ちづるは、玄とも仲良くなりたいんだな。ユウスケの事気になってるだけや無いんだな。
ちょっとちづるが、七月の暑い日の中の寒い日に食べたアイスみたいに冷たい涙を流した。

次の日に、ちづるがベースを見せてくれた。その時は、ユウスケとベース+ギターと言う事で、セッションしたり、
色々喋ったいた。玄も分かる所だけ、口を挟んで、あれは?これは?と話していた。
もち僕だってしゃべりには、入っていたよ。上手になれるボーカル本とか玄が買ってくるものだから。

僕らはどんなバンドになるんだろう。わからない、けど一つ分かる。
ファイファイを超える勢いで、頑張るという事実。





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