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不思議なお兄さん [作者:ユウコ]

■ 2/5

そんなある日、僕の行動に気がついたのか、お兄さんは突然、僕の目の前に現れた。
僕は驚いたけど、お兄さんは僕のことを子供だな、という目で見おろしていた。

「やあ、君は僕を観察しているね」

お兄さんはさっきの表情とは一転して優しい笑顔で話し掛けた。
僕はどきっとした。僕はお兄さんに怒られるだろうと思い少し怯えていたからだ。
すると、お兄さんは

「そっか、僕が分かるのか」

と言い、僕の頭を軽く撫でた。僕は目を見開いてお兄さんを見つめた。
お兄さんは僕が何を言いたいのか分かったのか、静かにうなずいた。

「僕は怒ったりしない。ただ君は好奇心が強すぎるかな。もし、僕が危ない人だったら君はどうなっているかわからないよ」

「じゃあ、お兄さんは危ない人じゃないんだ」

僕は上目遣いでこわごわと声を出した。お兄さんはああ、と言って笑顔でうなずいた。

「僕は直輝。君の名前は?」

「史成。浅生 史成」

「ふみなり・・・・・・君か。僕のことは直輝でもいいし、お兄さんと呼んでもいいよ」

お兄さんはにっこりと笑った。僕はお兄さんの笑顔につられて笑った。
だけど、僕はお兄さんに対する疑問があった。僕は思いきってお兄さんに聞いてみた。

「お兄さんは何で僕にしか見えないの?」

お兄さんは表情を変えずに答えた。

「それは、史成君が僕のことを追いかけているからだよ」

僕はお兄さんの言っている意味が分からなかった。
お兄さんの笑顔は優しかったけど、切なさを感じさせた。僕の思い込みかもしれないけど目は笑っていなくて冷えきっていたような気がした。
僕がお兄さんを追いかけている?それはお兄さんを観察しているとかじゃなくて・・・・・・。

「追いかけている?」

  僕は目を細めた。お兄さんはやっぱりな、という顔をした。

「そのうち分かるさ」

お兄さんは雲一つない青い空を見上げて呟いた。
その言葉の後に何かを言っていたが、僕は聞き取る事が出来なかった。
僕はお兄さんの言っていた言葉を聞き取っていたら、その後どうなっていたか予想できていたんだろうか?
出来ないかもしれない。

↓目次

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