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マフラーマン [作者:larkheart"95]

■ 第22章 

兎山の力が既に弱体化していたせいもあってか、飛ばされて、落ちたとき、
そこまで大きな衝撃は受けなかった。常人なら死んでただろうが、これも俺
たち一族の強いところらしい。

俺は落ちて、周りを見渡した。誰もいない。時間は昼過ぎだから太陽は南南
西といったところだろうか。そう考えると東側はエスパーの拠点…町を城郭
化したものだった。

俺は長老から預かっていたエスパーの拠点の地図…彼の長年の調査の結晶で
確かめることにした。…西門から入り、門を3つ抜ければボスのいると考え
られる中心地に行ける計算だった。

「行こうぜ。」

俺はそう呟いたが誰もいない。離散しているのだから当然だ。でも、心の中
にはみんながいることには変わりは無いし、みんなも南門や北門、東門から
入ってきているはずである。中で落ち合えればいいんだ。

そう考えているうちに城門だった。門兵は僅かに2人。

「誰だ!」

門兵は呟いたが次の瞬間には門と共に爆風で飛ばされていた。

「俺たちが受けた苦しみをお前らも味わえばいいんだ!エスパー!倒しに俺
たちは来たぞ!」

気付けば俺はこう叫んでいた。その時、ぱっと俺のほうを向いた人影があっ
た。鎖につながれながらゴミを拾わされていたところだったようだ。…近づ
いてよく見てみれば、近所のおじさんであった。

「…隼君じゃないかい?」

おじさんの目の焦点は合っているようにはみえなかった。

「隼君かい?隼君?!危ないから帰るんだ!危ないから!」

何かに取り付かれているかのようにおじさんは怯えながら言った。

「いいか、静かに…静かにしてるんだ。静かに…うあぁぁぁぁぁぁ!!」

何か、おじさんの意識をつないでいたものがここまできて暴走し始めてしま
ったようだ。静かにしてといいながら大きな声で叫んでしまったのだから、
どうなることかは一目瞭然だった。…敵だ。

「あーあ、意外といい見張り番になって助かったよこのオッサン。」

突然現れたそいつ…女は、あくびしながら、おじさんを猿回しの猿であるか
のように鎖をいじりながら言った。

「隼君…つったっけ?兎山倒したらしいじゃんおめでとう。よく親族でも容
赦できない当り立派な戦士じゃない。褒めてあげるね。」

「やはり兎山おじさんだったか…くそっ!お前らは!」

「ああ、私はそういう洗脳は専門外だから。…つまんないしね」

その瞬間、俺の左腕が切れた。やはり能力使いらしい。

「エスパー第11番隊長春野ミカよ。よろしくぅ〜音ってステキよねぇ」

「何が言いたい。」

「『つまいないしね』って私言ったじゃない?…『つまんない、死ね』とも
とれるから不思議よねぇ」

「それがどうした」

「私は声を操るのよ。隼君にはわかるかなぁ?」

そう、ミカがいい終えると耳鳴りし始めてくのが分かってきた。

↓目次

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