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マフラーマン [作者:larkheart"95]

■ 第18章 

「何があったの…」

ゆうひは揃って固まっている二人を見て、状況がイマイチ把握できず、混乱した。茫然とするゆうひもまた、二人と同じように凍りついたようだった。

そこへ、隼達が駆け付けた。

「…なんだこの図は?」

翼が口を開いた。逆に桃川は口が開きっぱなしで何も言えない。

「なんかね…もう…あの…」

未だ戸惑いを隠せないゆうひの傍に俺は行き、抱き寄せた。

「じゃあ、コイツは潰していいかな?」

桃川がホントはこの少女より俺を潰してしまいたいという気持ちを抑えようとしながら吐くようにいった。

「いいんじゃないか。…必要以上のことはするなよ」

翼が落ち着いて答えた。

「お姉ちゃん!」

後ろから声が聞こえた。ホタルだった。

「渚姉ちゃん!どうしたの?」

「え?」

今度は俺らが困惑した。聞いてない。ホタルの姉だなんて聞いてない。

「あ…説明できなくてごめんね。なんか私もよくわかんないの。」

「…これじゃあ何も聞き出せないじゃないがな」

俺は思った。時間を止められる当の本人が固まってる以上リスタートは不可能じゃないのかと

「動いてよ!」

いきなりゆうひが叫んだ。すると、二人はドサッと倒れた。

「え?」

全員の声が不自然にハモった。倒れた二人のうち、先に起き上がったのは長老だった。

「やあ、おはよう。」

さらに俺達は平然とする長老に対して驚きを隠せなかった。

「やれやれ、油断しておったわい。」

続いて起き上がろうとした、渚という少女を首から下の時を止め、話すこと以外許さないようにした。

「何しにきたのじゃ?」

長老は訊いた。

「稲華姉からホタルを連れ戻すように言われたの。ただそれだけ。」

「君と姉はエスパーにいるのか?」

今度は俺が訊いた。

「ええ…そうね。まぁ、殺るなら殺れば?」

渚は平然としていた。姉以外には従わないとでも言わないばかりに。

「敵とはいえ殺すのは好まないな。…こっちにつかないとでも言うなら、この野獣にやらせるが?」

翼は桃川をチラチラ見ながら言った。

「…生き恥はごめんこうむりたいものね。」

「いいから帰ってきてよ!渚姉ちゃんも、稲華姉ちゃんも!」

頑なにも降参しようとしない姉を見かねた弟が叫んだ。

しばらくの沈黙が流れ、渚によってそれは破られた。

「…稲華姉…昔に戻ってくれるかなぁ。」

そう呟いた彼女の目は濡れていた

↓目次

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