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マフラーマン [作者:larkheart"95]

■ 第17章 

俺らの訓練…というより特訓は量的にも質的にも恐ろしいものであったし、いない時間にエスパーにやられた人の数なんて知れなかった。

そんなことを頭の片隅に必死に追いやりながら俺は必死で強くなってきたと思う。ついにはホタルも俺のブラスターを受けることを拒絶した。

「もうよくねぇかぁ?!」

桃川もそう言い出した。正直言ってもう飽きていたし俺も機会次第で長老にそういうつもりだった。

「まぁ、そうだけどさぁそういおうかと思うけど…翼はどうよ?」

しかし、翼は無言で空を見ている。ゆうひは6人分の食事を準備しているところでここにはいない。

「ほんとに強いのかは分からないよな。ホタルの姉はもっとガード固いかも…」

「…それは下心の意味でもか?」

俺は桃川に訊いた。そのとおりと言わないばかりに彼は声を出さずに大笑いしていた。

「…来る」

突然、翼が静かに、しかし迫力こめて呟いた。

「え?」

俺と桃川がハモった瞬間、ホタルが駆け込んできた。

「じいちゃんが!…やばい!姉ちゃんが!」


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同刻、屋敷の奥のほうで、ゆうひは少し年下と思われる少女と対峙していた。

長老は何があったのか、凍り付いている。…時が止まったかのように

「あなた…なんなのですか!」

ゆうひは叫んだが声は震えていた。時間を稼ごうとしてその少女の動きを止めようとした長老が逆に止まっていたのだ。

「…そうねぇ、弟を引き取りにきたと言えばいいですか?それともあなたがたに息を引き取ってもらうためとか?」

正直言ってゆうひは戦える能力は持ち合わせていない。ホタルを戦える三人の元に行かせたが狙われてるのは彼だと彼女は察した。

「…で、その弟をどこに行かせたのですか?逃がしたとかそんなことは言いませんよね?」

ゆうひは答えない。時間さえあれば、三人が来ることは分かっていたからだ。

「戻ってくるわ。…でも渡さないですからね!」

「あらぁ、弟にもガールフレンドなんてできるの?」

少女は微笑んでいた。喜んでいるのか余裕なのかは察せなかった。

「弟にはそんなのいらないわ…消えて!」

少女は誤解したままゆうひを襲撃しようとした。ゆうひは時さえあればと強く思った。

「時間を…すこしでいい。隼がここに来るまでの!」

そう願いながら目をつぶった。…襲撃してきたはずの少女が来ない。

目を開けると、少女は長老と同じように凍り付いていた。

↓目次

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