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マフラーマン [作者:larkheart"95]

■ 第13章 〜遠い明日〜

翌日に目が覚めたらゆうひが俺のそばで、布団に潜り込んで寝ていた。
…わざと別々の布団で、数メートル離したはずなのにな。…なんかしたか俺?
そう考えると少し怖くなった。記憶が残っていないのか?

「…う〜…ん……」

ゆうひがしがみついていた。自分が起きようにも起きられない。
決闘は夕刻なのだ。しばらく寝ていてもいいではないか。
俺はしばらく寄り添った。

起きたのは昼過ぎのことだった。珍しく長く寝た。その時にはゆうひの手はほどけていたから安心した。

何故だか今だに眠そうなゆうひに出掛ける理由を告げて、俺は家を出た。
ゆうひはただ悲しげに頷いた。

「気をつけてね」

決戦の予告地点、すでに男がいて瞑想していた。

彼の名は松野鳶興。もともと武家…もとい海賊の出身で、
今ではエスパーの8番隊長を務めていた上にエスパー総長のお気に入りの部下だった。

そのそばに妖絶な美女が立っていた。彼女こそが俺の家に矢を放った副長だった。
謝芽芽。彼女は先祖から松野家の片腕として様々なところで暗躍していた家である。

「待たせたな」

俺はそう言って彼等の前に姿を現した。

「芽芽、いい獲物が来たじゃないか。」

「やだ、鳶興サマ。あのコの骨で婚約指輪を作ってほしいの?…そんな汚い約束はイヤよ。」

鳶興はそれを聞いて高く笑った。

「まあ、いいからあのボーヤをしとめちゃえよ。俺は崖のうえで眺めてるからさ」

「フフッ任せてよ…今夜は空いてるかしら?」

それが言い終わらないうちに俺はバスターを放った

「…煩い!」

とっさの判断で謝は避けた

「貴様等の情事の話なんて俺は求めてない!」

くだらない話に飽き飽きしていた。

「そうね。正直、忘れてたわ」

何言ってんだこいつは、そう思った瞬間、何かが変わった。…風だ!

「風が何故吹くかわかる?」

「気圧の関係じゃあないのか?」

俺は即答した。それを聞いて謝は微笑んだ。

「そうよ。私は気圧をある程度までは変えられるの。あなたが風使いでも関係ないの。」

その通りだった。暴風が向かい風となり容赦なく俺を足止めした。
ブラスターを放とうものなら自分が被る。

「ほうっておくと…」

謝はゆっくり、俺をなめ回すように見ながらこう言った

「あなたのところだけ暴風雨なんてこともありますよ…そうなったら戦えないでしょう?」

「くっ…」

そういわれても風に耐えるのがいっぱいいっぱいだった。
ありがたいことに謝はそこに付け込んで攻撃はすぐにしなかったが、見えた。

既に謝は弓を構えていた。

↓目次

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