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マフラーマン [作者:larkheart"95]

■ 第5章〜遠い日々の幻〜

「ヒカリさん、どこまで?!」

「いいからついてきなさい。」

ヒカリさんの車は青いスポーツカーだった。新しい上に若干改造を施していた。

「…私の取って置きのところ。連れてくのは貴方が初めてよ」

なんだか際どい言い方で俺は困惑した。それもそうだ。色気のある女性と二人で秘密の場
所へ行くというのだから変なことを想像してしまうのは本能として仕方ないだろう

しかし、30分ほど走らせて着いたのは住宅街で、東京の端にある川だった。見たことあっ
た。確か…

「ララルー、出てきなさい」

突然、ヒカリさんが川に向かって言った。すると、水面から何か小さな、ホタルのよう
な、生物が出てきた。

「なんでしょうか?ヒカリ様。」

「…隼君、見える?」

「は、はい。なんか…浮いてます」

「私たち火垂家の妖精よ。でもこのこは何故か水が好きなのよ」

「一時期はこの川にアザラシが来てたのですが最近は寂しゅうございます…」

「でもララルー、この人を見て気にならない?」

「え?」

俺と妖精…ララルーの声がハモった。このとき初めてお互い目が合った

「ご主人様…の一族ですね。初めてお会いします。」

完全に俺は混乱した。一族?なんだそれ?

「隼君、つまりあなたも実は火垂家の人…あなたの父の母が火垂家のはずよ。だからあな
たの父と私は従兄弟なの」

「えっ!そうなの?全然知らなかったよ?初めて聞きましたよ。」

「何せ街は狭いからね。調べれば親戚は沢山いるのよ。」

言われてみれば理論的に有り得ると思った。最も一族の特殊能力や水面の妖精も理論的と
は全く言えないのだが。

「そして、川の妖精…これは藍川家を指している。間違いないわ。隼君、つれていきなさ
い。」

妖精とは俺らにとって、守護神のようなものだと昔、火垂時雄…つまり長老に教わった。
火垂家にしか妖精はいないというが俺がもらい受けていいのだろうか?

そんなこと考えていたらいつの間にかララルーがすぐそばに来てくれた。

「前のご主人様から話は聞きました。街を守る隼様を精一杯補佐します」

ヒカリさんは微笑み、そして頷いた

「さあ、ララルーを連れて帰りましょう。お昼は何がいいかな?」

もはや何が何だか分らなくなってきて俺は頭が痛くなったが再びスポーツカーに乗り、新宿へ向かった。

きっと、これからの戦いに役立つようにとの願いだと確信した。

↓目次

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